2023年は不動産バブルと言われるほど、不動産価格の高騰が続きました。
2024年はどうなるのでしょうか。
今回の記事ではマンション価格の推移や今後の動向について解説していきます。
マンション価格は高騰傾向
参考:令和6年2月・第4四半期分 不動産価格指数
https://www.mlit.go.jp/totikensangyo/content/001745770.pdf
上記の表は2024年2月度の不動産価格指数(2010年度の不動産平均価格を100として計算した際の指標)です。
2008年から2012年頃は不動産市場全体が冷え込んでいました。
これはリーマンショック(2008年)や東日本大震災(2011年)などで、経済に打撃を受けたことが要因になっています。
そして政権交代による低金利政策が始まった2013年以降、不動産価格は上昇。
ここから、不動産バブルと呼ばれる不動産価格の高騰が続きます。
その中でもマンション価格の高騰は激しく、2024年2月時点で2010年度の2倍近くに価格が跳ね上がっています。
戸建住宅は近年1.1〜1.2倍程度で停滞しており、マンションも供給過多になって価格が下がるのではと言われていましたが、まだまだ勢いは止まらないようです。
マンション価格が高騰している理由
マンション価格の高騰にはいくつかの要因が関係しています。
低金利政策
2013年から金融緩和の一つとして行われていた低金利政策。
低金利政策と不動産価格の高騰にはどのような関係があるのでしょうか。
不動産を購入する際に、ほとんどの人が金融機関で住宅ローンを組みます。
その際の金利が低ければ低いほど、住宅ローンを組みやすく(=不動産を買いやすく)なるのです。
これにより、家やマンションなどの不動産の需要が増えると、相対的に不動産価格が高くなります。
そのため、マンション価格が高騰していたのです。
海外の影響
首都圏や大都市などの利便性のいいマンションは海外投資家からも人気があり、そのため需要が高く不動産価格が高騰しがちです。
また、円安であることも人気に拍車をかけています。
コロナの規制緩和により、観光施設や宿泊施設などのインバウンド需要が高まっていることも不動産の価格の高騰の原因の一つです。
更に、ウクライナ侵攻による物資の不足と円安が原因で建築資材が高騰しており、それもまた不動産価格に影響を与えています。
マンション価格の高騰はいつまで続く?
バブルと言われるほど、高騰しているマンション価格。
2023年には東京23区の新築マンション平均価格が1億円を超え話題になりました。
いつまでこの勢いが続くのでしょうか。
高騰は続くが更に局地化する
2023年新築平均価格 | 2022年新築平均価格 | 2021年新築平均価格 | 2020年新築平均価格 | |
首都圏 | 8,101万 | 6,288万 | 6,260万 | 6,083万 |
近畿圏 | 4,666万円 | 4,635万 | 4,562万 | 4,181万 |
全国平均 | 5,911万円 | 5,121万 | 5,115万 | 4,971万 |
参考;株式会社不動産経済研究所「全国 新築分譲マンション市場動向 2023 年」(https://www.fudousankeizai.co.jp/share/mansion/579/zm2023.pdf)
上記の一覧表では、2023年の新築分譲マンションの首都圏平均価格が8,101万円であるのに対し、全国平均価格は5,911万円、近畿圏は4,666万円と大きく差が開いています。
2023年新築マンション平均価格 | |
東京23区 | 1億1,483万円 |
都下 | 5,427万円 |
神奈川 | 6,069万円 |
埼玉 | 4,870万円 |
千葉 | 4,786万円 |
首都圏計 | 8,101万円 |
参考;株式会社不動産経済研究所「全国 新築分譲マンション市場動向 2023 年」(https://www.fudousankeizai.co.jp/share/mansion/579/zm2023.pdf)
続けて首都圏の平均価格を比べて見てみると、東京23区が突出して平均価格が高く、次点の神奈川でも6,069万円と東京23区のほぼ半分ほどの価格になります。
つまり、一部の人気のある地域の価格があまりにも高騰していて、平均価格を引きあげていることが分かります。
また、発売戸数は前年比で10.8%減り、2 年連続減少しています。
これは土地価格や物資の高騰のため、不動産業者によるマンション用地や建築資材の確保ができずマンション建設自体が難しいことが原因です。
マンション需要が高い昨今において、発売戸数の減少は価格高騰の一因となっています。
低金利政策終了の影響は?
2024年3月にマイナス金利政策解除が決定。
金利が上がる可能性から、不動産価格の下落がささやかれていました
しかし上昇幅は緩やかであり、2024年6月現在それほど影響は見られません。
建築資材の高騰は続きそう
ロシアのウクライナ侵攻だけではなく、2023年10月にイスラエル紛争も始まったことで、更に建築資材が高騰する可能性があります。
また、円安の状態だと建物の資材などを含む輸入品は高くなります。
そのため建築費が嵩み、不動産価格が高騰します。
以上の理由から、2024年もしばらく不動産価格の高騰は続くと考えられています。
新築マンション価格と中古マンション価格の関連性
上記でも述べたように、新築マンションの発売戸数は2年連続減少しています。
これは土地価格や建築資材の高騰によるためですが、今の所その二つは解決の目途はたたないため、新築マンションの販売戸数の減少は続くと思われます。
そうなると、新築マンションの値段もますます上がり、簡単に購入することができなくなります。
そのため、代替案として、中古マンションの需要が増加しています。
特に東京23区など価格が暴騰しているエリアにおいて、中古マンションは主要な選択肢の一つとなっています。
マンション購入に最適なタイミングを考える際のポイント
「いつかはマンションが欲しいけど、どのタイミングで買えばいいの?」と迷っている方も多いと思います。
マンションの需要が高まっていれば尚更ですよね。
マンション購入のきっかけについて様々な角度から考えてみましょう。
統計データで見るマンション購入のタイミング
マンションを購入するのはどういうタイプの人なのか、国土交通省「令和4年度 住宅市場動向調査報告書」(https://www.mlit.go.jp/report/press/content/001610299.pdf)を見て考えてみましょう。
〇マンション購入する年齢
住宅の一次取得者(初めて家を購入する人)の中で、新築分譲集合住宅(新築マンション)を購入する人の平均年齢は39.9歳、中古集合住宅(中古マンション)と購入する人の平均年齢は43.7歳。
初めてマンション購入する人の半数以上は30代〜40代という結果になっています。
これは住宅ローンの返済期間に関係があります。
住宅ローンを35年返済予定で組み定年までに返済しようとする場合、30代半ばまでに家を買う必要が出てくるからです。
また、多くの金融機関では完済時年齢が決められており、完済時年齢が若ければ若いほど審査が有利と言われています。
完済時年齢は大体80歳が限度であることが多く、そこから逆算すると40代前半まで家を購入しないと35年ローンを組むのは難しくなります。
〇マンション購入する人の年収
購入者の世帯平均年収は新築分譲集合住宅で960万円、中古集合住宅で657万円となりました。
新築マンション購入者の平均年収は新築戸建て購入者と比較しても高く、昨今の新築マンションの価格高騰を反映しています。
ライフイベントで見るマンション購入するタイミング
それでは、人生のどういったタイミングでマンションを購入する事が多いのでしょう。
〇結婚・出産
結婚や出産など家族が増えるタイミングで家を購入するパターンは、よく耳にしますよね。
職場に近い利便性のいいエリア、子供の学区などを考慮したエリア、部屋数が多い家を安く購入できる郊外エリア…など、ライフプランに合わせたマンションを探しましょう。
〇定年退職
仕事も子育てもひと段落し夫婦二人の生活になると、購入した家を一旦売ったり、リノベーションする人が増えてきます。
子供部屋がたくさんある郊外の家から、老後を見据えて利便性の高いエリアのマンションへ引っ越しを検討する人も。
マンション売却に最適なタイミングを考える際のポイント
それではマンションを売るいいタイミングというものはあるのでしょうか。
それを判断するために、いくつかの要素から売却を検討してみましょう。
築浅
当然ですが、中古マンションは年数が 経つにつれ徐々に販売価格が下がります。
築6〜10年の物件の成約率が一番高く、築25年を越えると一気に値段が下がる傾向があります。
季節
不動産の需要が高まる季節は
2~3月(新学期・企業の人事異動に伴う引越しが多い)
9~10月(企業の人事異動の機会が多い)
とされています。
その時期の1〜2ヶ月前に家を売りに出すことで、早く買い手がつく可能性があります。
市況・相場
マンションの平均売却価格が高い時は、売り時です。
自分のマンションエリアの公示価格や不動産価格指数などの指標をサイトを通じて確認して、売却価格が上がっているかどうかを確認しておきましょう。
最近はマンションの需要が高く、新築マンションの価格高騰が続いています。
そのため、中古マンションを購入する人が増えているため、基本的には売り時だと言えるでしょう。
税金
家を売ると所得税・住民税を課税する必要が出てきます。
この税金を決める時に必要になるのが譲渡所得です。
譲渡所得は、家を売って得たお金から、家を取得するために必要だった諸経費や税金(取得費)と家を売るために必要な諸経費(譲渡費用)を引いた金額です。
譲渡所得によって税率は変わりますが、家の所有期間が5年を超えるかどうかでも大きく異なります。
通常は所有期間5年以下の場合の方が税金が高くなるため、5年経ってから家を売却した方が得とされています。
しかし「3,000万円の特別控除」を利用する場合にはその限りではありません。
この控除を使うには売却する住宅がマイホームであるなどの条件があるため、まずは自分があてはまるか・どのパターンで売却するのが一番得か、情報を集め計算してから売却を検討しましょう。
【まとめ】
資材価格の上昇や円安はまだ続くため、2024年もしばらく不動産価格は高騰しそうです。
特にマンションは安定して高値を更新しています。
この記事で紹介したように社会情勢やライフプランなどを考慮して、少しでも有利に売却・購入しましょう。
難しい場合は、不動産会社や金融機関のサービスを使用したり相談したりするのもいい方法です。