「経営する会社が倒産しそう。倒産したら自宅も差し押さえられてしまうのかな?」
「どうにかして自宅を守る方法はないかな?」
この記事を読まれているということは、このようなお悩みがあるのではないでしょうか?
事業の経営がうまくいかず、会社が倒産する場合、経営者本人も連帯保証の対象となるため破産することになります。結果的に、家族も居住する自宅を手放さなければなりません。
そんな状況でも、自宅を守る方法があるかもしれません。
以下でその方法について解説していますので、ぜひ最後までお読みください。
本当に自宅を残すべきか改めて考える
昔から住んでいる自宅を売却するのはとても辛いですよね。
さらに同居する家族がいる場合、自宅を手放すことになると色々な弊害が出てくると思います。
子供の場合は転校など教育の環境が変わることや、両親の場合は慣れ親しみ愛着のある住宅を手放さなければなりません。
しかし、自宅を手放すことで会社の借金を減らせる可能性があることも念頭においておきたいところです。
自宅を手放すことで資金繰りができ、企業の債務を減らして状況を改善できるかもしれません。
また、住宅ローンを清算することで、住居におけるコストを減らして全体のコストを軽くできるかもしれません。
こういったメリットを考慮した上でも、どうしても自宅を残したい場合に以下の方法を検討しましょう。
自宅を残す方法4選
ではここから、会社が倒産した後も自宅を残す方法を4つ提案していきます。
各々の方法には必要条件があるため、自身の状況にあった方法を検討することが大切です。
金融機関へリスケジュールの相談
リスケジュールとは
会社が倒産することが免れない時に、最初に検討をしたいのがリスケジュールです。
読んで字のごとく、住宅ローンの返済計画を見直す方法です。
返済期間を延長や一定期間の返済額を減額してもらう、元金返済措置(一定期間は利息のみの支払いにしてもらう)方法があります。
当面の返済計画を一時的ではありますが、見直してもらえるかもしれません。
期間としては半年から1年程度が目安となっており、倒産後も立て直せる、返済能力がある場合は相談してみる価値があります。
住宅ローンを組んでいる金融機関にリスケジュールについて相談の連絡を入れましょう。
リスケジュールの必要条件
リスケジュールに必要な条件は、倒産後も債務者本人に支払い能力があることが前提となります。
会社の倒産で、返済の見込みが立たないとリスケジュールの相談が受理されない可能性が高いのです。
また、リスケジュールでは一定期間の返済は楽になりますが、最終的には元金の返済が後ろにずれ込むことになるため、その分利息が増えて支払い総額が上がってしまうことは考慮しておきましょう。
そういった条件を飲めれば、住宅ローンの返済は継続され、支払い期限が延長できるかの相談に値します。
個人再生
個人再生とは
個人再生とは、借金の返済が困難になった場合に返済総額を少なくし、その金額を原則3年で分割払いしていく、法律上で認められた債務整理手続きのことです。
特別な事情がある場合は、5年まで猶予が認められる場合もあります。
どのくらい債務が減らせるかというと、原則として5分の1に減額され、その他にある借金も圧縮できます。
自己破産とは違い、住宅ローンを払い続けることにより、自宅を維持した状態で債務整理が可能な制度です。
個人再生の必要条件
個人再生の条件としては、借金総額が5000万円以下の場合のみ適応されます。
また、裁判所に手続き費用が数万円〜数十万円ほどかかるため、その費用の準備も必要になります。
こちらもリスケジュールと同様、倒産後も再就職などの継続した安定収入が見込める場合にのみ、相談できる制度になります。
個人再生をした後は、その後5〜10年間は金融機関からの借り入れができなくなります。
任意売却
任意売却とは
続いては任意売却という方法です。
任意売却は自宅を担保にしている場合、ローンの返済ができなくなった人が債権者である金融機関の合意の元、住宅を売却する手続きです。
住宅を協力者に購入してもらえる場合、金融機関から抵当権を解消でき、競売にかけられずに自宅を残せます。
売却方法に競売という方法もありますが、競売では市場価値より大きく下回った価格で取り引きされてしまうこともあるため、任意売却という方法は債権者である金融機関にとっても悪い話ではないのです。
競売では住宅情報が公になりますが、任意売却では住宅情報が公開されないため、所有者の情報が非公開となるのもメリットです。
任意売却の必要条件
任意売却の手続きを進めるための必要条件としては、まず金融機関に任意売却を認めてもらう必要があります。
そもそも担保としている住宅の抵当権を失うのはリスクとも取れるため、金融機関によっては任意売却を認めていない場合もあり注意が必要です。
また、任意売却ができる期間は、競売入札日の前日までです。
それまでに完了していないと競売にかけられてしまうため、期限が来るまでに住宅を購入してくれる親族などの協力者を見つけなければなりません。
リースバック
リースバックとは
最後にリースバックという方法です。
リースバックは売却先に対して、不動産の売却と賃貸契約を同時に行う方法です。
住宅を不動産会社やリース会社、個人投資家に売却し、買い主から住宅を賃貸として借りながら住み続けられます。
住宅を売却するため、売却資金を得られることも大きなメリットです。
賃貸契約は破産後も影響がないため、自宅を追い出される心配がありません。
リースバックという方法自体には、売却した物件を将来的に買い戻せる場合もあるようです。
リースバック業者との間に買い戻しのための条件をつける必要はありますが、将来的に経済状況が好転した場合、買い戻せる可能性もあります。
リースバックの必要条件
リースバックを進めるにあたっての必要条件は、債務総額より住宅の市場価値が上回っていることが条件になります。
なぜならリースバックで売却した代金で、自宅が担保になっている債務を全額返済できる必要があるからです。
また、それにより債権者である金融機関から抵当権の解除に合意してもらえるかも鍵になります。
家賃を抑えるために、破産するという理由であえて安い価格で自宅を売却すると、詐害行為となり、違法行為となってしまうため注意しましょう。
自己破産後も自宅を残せるかも?
自己破産をしなければならない状況でも、ハードルは高いですが自宅を残せる可能性はゼロではありません。ではどういった状況で自宅を残せるのでしょうか。
自己破産とは
まず自己破産とは、債務者(お金を借りている人)が、借金返済が難しくなった場合、支払い義務を裁判所から免除してもらう制度です。
借金そのものは無くなりますが、債務者の財産は基本的に没収されます。
しかし、今後の生活費として99万円の資産と、20万円以下の時価の資産に限って手元に残せます。
そのため、自己破産後は基本的に自宅を失うことになります。
自己破産の必要条件
自宅を残す方法は親族に住宅を買い戻す資金提供してもらえる時です。
かなりハードルが高いですが、結果的に任意売却に成功した時と言えます。
さらには、任意売却と並行してリースバック活用することで賃貸として自宅に居住し続けられる可能性があります。
任意売却が難しい場合、競売にかけられた段階でも協力者に不動産を落札してもらう方法もあります。
しかし、絶対に落札できる確証はないため、さらにハードルは高くなりますが、可能性としてはゼロではありません。
【まとめ】倒産しても自宅をあきらめない
自分が経営する会社が倒産する場合、社長は連帯保証の対象となるため、資産である自宅を売却しなければなりません。
しかし、理由はさまざまですが自宅に継続して居住していたい場合は、上記のような方法で自宅を完全に手放すことを避けられるかもしれません。
ハードルはどの手段も高いといえますが、完全にあきらめる前に弁護士や専門の業者へ相談してみるのをおすすめします。