結婚や出産の予定があるからマンションを購入して賃貸から引っ越したい、でもどれくらいの価格帯の住まいがいいのかピンとこない…という方は多いのではないでしょうか。
今回の記事では今の年収で買えるマンション価格の目安について解説していきます。
年収別住宅ローンの借入可能額や購入の際に必要な諸費用の目安も紹介します。
購入できるマンションの価格の目安は年収の何倍?
マンションの購入価格の目安は一般的には年収の5倍から7倍とされています。
これは、多くの金融機関が住宅ローンの借入限度額を年収の5倍から7倍程度に設定しているためです。
しかし、この基準はあくまで一般的なものであり、個々の状況により異なる場合があります。
年収以外でマンション購入に影響がある要因
- 頭金
頭金が多ければ多くの資金を借りる必要がなくなるため、年収の目安以上のマンションを購入することが可能になります。
逆に頭金が少ない場合は、年収の目安以内に抑える必要があります。
- 借入期間
長期間にわたってローンを組むことで、毎月の返済額を抑えることができるため、年収の目安以上の価格帯のマンションを購入できる可能性もあります。
ただし返済期間が長くなると、総返済額も増加するため注意が必要です。
- 家族の収入
夫婦や子供の収入も併せて考慮し、借入限度額を増やすこともできます。
- 年齢
多くの金融機関は完済時年齢を80歳と設定しています。
そのため40代前半までに家を購入しないと、35年ローンを組むことが難しくなってしまいます。
- 職業
公務員や大手企業のような安定している職業の場合は金融機関の審査が通りやすくなるとされています。
雇用形態がパートやアルバイトの場合、収入が不安定とみられ、審査に通りにくいと言われています。
また、転職回数が多いと、こちらも収入が不安定とみなされる可能性があります。
さらに、ライフプランや将来の収入見通しも考えるべきです。
子供の教育費や老後の生活費など、将来的に大きな支出が見込まれる場合は慎重に予算を組む必要があります。
貯蓄などの自己資金、借入期間、将来のライフプランなどを総合的に考慮して、無理のない範囲での購入を検討することが大切です。
マンション購入者の平均年齢や平均年収
一般的に、どのくらいの年齢や年収でマンションを購入しているのでしょう。
令和4年度住宅市場動向調査の情報から解説します。
マンション購入者の平均年齢
更に上記の表からも分かるように、新築・中古マンションの購入者の内6〜7割が30代・40代です。
前述したように、住宅ローンを35年で返済するには30〜40代で家を購入しないといけないため、この年代の購入の割合が最も高いと考えられます。
対してマンションを二次取得した世帯主の平均年齢は、新築・中古ともに50代以上となり、60歳以上の購入者が一番多いという結果になっています。
これは子供の独立や退職といった大きなライフイベントの変化に合わせて家を売るなど、暮らし方も変える人が多いことを示唆しています。
マンション購入者の平均年収
新築マンションを購入した世帯の平均年収は923万円で、最も多いのは年収600 万〜800 万未満の層です。
中古マンションの平均世帯年収は609万円で、世帯年収400万〜600万円未満の層が最も多くなっています。
新築マンションの平均世帯年収は、一戸建てを購入した世帯と比べても圧倒的に高く、昨今の新築マンションの高騰が反映された結果となりました。
マンション購入予算の計算式は?どんな費用がかかる?
上述したようにマンション購入予算は、一般的に「年収の5倍から7倍」が目安とされています。
しかし、実際購入するとなると、マンション購入代金だけではなく、様々な諸経費が発生します。
つまり、マンション購入予算とは「マンション購入費+諸費用」ということになります。
この諸費用とはどういったものなのでしょうか。
マンション購入諸費用の目安
マンション購入時には、純粋なマンション購入代金以外にも税金や手数料などがかかります。
この諸費用は
新築マンション:物件価格の3~6%
中古マンション:物件価格の6~10%
が大まかな目安とされています。
この諸費用を把握して、購入予算を計画することが重要です。
新築マンション購入にかかる諸経費
印紙税 | 1~3万円 | 売買契約書に貼る印紙の費用 |
登録免許税 | 所有権保存登記の際に課税される登録免許税→住宅用は0.15%(2027年3月31日まで) 抵当権設定登記の際に課税される登録免許税→住宅用は0.1%(2027年3月31日まで) | |
司法書士への依頼費(上記の登記を行う) | 5~15万円 | |
不動産取得税 | 固定資産税評価額(課税標準価格)×3% | |
固定資産税 | 固定資産税評価額×標準税率1.4%(市町村による) | |
都市計画税 | 固定資産税評価額×制限税率0.3%(市町村による) | |
管理費・修繕積立金 | 決済・引き渡しのタイミングで数十万円払うケースも | |
引っ越し・ | 20万円単身者は5~10万ほど家族は20~40万円ほど | |
家具家電購入費 |
マンション購入の際にかかる費用の一例です。
ケースによっては駐車場代・駐輪場代、また購入後や契約時に不動産会社・売り主に支払うお金が更に発生します。
中古マンション購入時にかかる諸経費
印紙税 | 1~3万円 | 売買契約書に貼る印紙の費用 |
登録免許税 | 所有権移転登記の際に課税される登録免許税→住宅用は0.3%(2027年3月31日まで) 抵当権設定登記の際に課税される登録免許税→住宅用は0.1%(2027年3月31日まで) | |
仲介手数料 | マンションの値段によって異なるが、上限額は物件価格×3%+6万円+消費税 | |
固定資産税清算金 | 売主が負担した固定資産税を、購入者が負担する費用 | |
司法書士への依頼費(上記の登記を行う) | 5~15万円 | |
不動産取得税 | 固定資産税評価額(課税標準価格)×3% | |
固定資産税 | 固定資産税評価額×標準税率1.4%(市町村による) | |
都市計画税 | 固定資産税評価額×制限税率0.3%(市町村による) | |
管理費・修繕積立金 | 決済・引き渡しのタイミングで数十万円払うケースも | |
引っ越し・ | 20万円単身者は5~10万ほど家族は20~40万円ほど | |
家具家電購入費 |
中古マンションの場合、新築マンションと比較すると以下の部分が異なります。
- 行う登記が所有権保存ではなく所有権移転登記になること
- 中古マンションの場合、ほとんどが不動産会社を仲介して買うため仲介手数料が発生すること
- 固定資産税清算金が発生すること(固定資産税は毎年一月一日時点の物件所有者に発生する。年度途中で引き渡す場合、引き渡しの月から12月31日までの固定資産税を負担する必要が出てくる)
新築マンションとは違い、仲介手数料や固定資産税清算金と言った出費があるため注意しましょう。
年収別の借入可能額
一般的に家を購入する際、頭金で足りない部分は住宅ローンを利用することになります。
住宅ローンには大きく分けて、銀行などがサービス提供する民間ローン、フラット35などの準公的ローン、公的ローンの3つがあります。
でも住宅ローンでどれくらい借りる事が可能なのか不安になりますよね。
年収で住宅ローンの借り入れ可能額を算出する場合、返済比率(返済負担率)を用います。
この比率は「年収から見た年間のローン返済比率」を表します。
下記の一覧は住宅金融普及協会の住宅ローンシミュレーション
(https://www.sumai-info.com/simulation/kariirekanou.html)
を用いて各年収ごとに以下の条件で計算したものです。(2024年6月現在)
借入金利:0.375%(変動金利)
返済期間:35年
返済方式:元利均等返済
返済比率(返済負担率):30%
年収 | 借り入れ可能額 |
200万円 | 19,677,363円 |
300万円 | 29,516,045円 |
400万円 | 39,354,726円 |
500万円 | 49,193,408円 |
600万円 | 59,032,090円 |
700万円 | 68,870,771円 |
800万円 | 78,709,453円 |
900万円 | 88,548,135円 |
1000万円 | 98,386,816円 |
1100万円 | 108,225,498円 |
1200万円 | 118,064,180円 |
年収別の月々の返済額シミュレーション
それでは、上記の借入可能額を全額借りた場合、月々いくら返済することになるのでしょうか。
住宅金融普及協会の住宅ローンシミュレーションの総支払額の計算ページ
(https://www.sumai-info.com/simulation/jishitukinri.html)で上記と同条件で試算してみました。(上記の借り入れ可能額の1万の位を四捨五入して計算)
年収 | 月返済額 |
200万円 | 50,057円 |
300万円 | 74,959円 |
400万円 | 100,115円 |
500万円 | 125,016円 |
600万円 | 149,918円 |
700万円 | 175,074円 |
800万円 | 199,975円 |
900万円 | 224,877円 |
1000万円 | 250,033円 |
1100万円 | 274,935円 |
1200万円 | 300,091円 |
今回のシミュレーションの条件は
- ボーナス払い
- 頭金
- 融資手数料などの諸経費
を含んでいません。
それらを加味すると、返済額も変わってくるため注意しましょう。
マンションを無理なく購入するための注意点
マンション購入する際、価格や住宅ローン額の目安以外に知っておいた方がいいポイントはあるのでしょうか。
無理なく返済できる借入額にする
年収に応じて借入可能額は変わりますが、上限額ギリギリで借りてしまうと後で返済が難しくなることがあります。
例えば同じ年収の家族でも、子供の人数が多いと出費がかさみ家計を圧迫します。
同じ世帯年収で同じ住宅ローンの利用者であっても、どの程度の返済額がいいかは世帯によって異なるのです。
上記の借入可能額はあくまでも目安にして、年間ローン返済額は税込み年収の20~25%に
とどめるのがおすすめです。
収入合算やペアローンを検討してみる
共働きの場合、世帯主の夫の年収に妻の年収を合算する方法を使用することで住宅ローンの上限額があがり、選択肢が増えるというメリットがあります。
デメリットとしては、どちらかが病気やケガで働けない場合や離婚などの際にリスクが高くなることです。
家族でよく話し合って決めましょう。
親からの贈与
家族からの贈与が年間110万円を超える場合、通常は贈与税がかかります。
しかし2026年12月31日まで、父母や祖父母から住宅購入の資金援助を受けた場合、特例で非課税になります。
省エネ等住宅の場合には1000万円まで、それ以外の住宅の場合には500万円まで非課税になります。
特例が受けられる間に、援助を受けて借入額を減らすのも一つの手です。
中古マンションを検討する
昨今のマンション価格高騰により、中古マンションを希望する人も増えてきました。
利便性のいいエリアで築浅マンションを検討すれば、新築と変わりない場合もあります。
また中古マンションの価値が高くなっているため、売却の際にも高い金額になる可能性があります。
試しに一度探してみてはいかがでしょうか。
【まとめ】
いかがでしたでしょうか。
マンションを購入する際税金や諸経費がかかるだけではなく、購入後も修繕管理費や駐車場代などがかかります。
そのため月々の住宅ローンも余裕を持って支払いができるよう、しっかりとした資金計画を立てておきましょう。