家を買う時に重要な要素の一つが住宅ローン。
無理なく返済できる金額とはどれくらいなのか、何歳までにローンを借り入れるべきなのか…いまいちわからない方も多いのではないでしょうか。
今回の記事では住宅ローンを借りられる年齢について解説します。
住宅ローンを一般的に何歳までに完済するかもご紹介します。
住宅ローンは一般的に70歳以下まで借りられる
住宅ローンの申込可能年齢は、一般的には20歳以上70歳未満、完済時年齢の上限は80歳未満となっています。
銀行など各金融機関によって、これらの年齢の条件は異なります。
申込可能年齢が65歳までの所もあるため注意してください。
また、70歳ギリギリでローンを組んだ場合、完済時年齢まで約10年ほどしかありません。
そうなると35年ローンは組めないため、計画的に住宅ローンを利用できるようあらかじめライフプランを考えておきましょう。
住宅ローンは何歳までに組むのが一般的か
それでは一般的に住宅ローンは何歳までに組むことが多いのでしょうか。
住宅ローンを組む平均年齢
2022年に実施された住宅金融支援機構によるフラット35利用者調査(https://www.jhf.go.jp/files/400366726.pdf)
では、住宅ローン利用時の平均年齢は42.8歳で中央値は41歳、もっとも多い利用年齢層は30歳代で全体の34.2%、次点が40歳代で27.4%となっています。
30歳代の住宅ローン利用率が多いのは、住宅ローンを35年で返済しようと考えると、30代で家を購入しないと定年退職までに完済できないからという理由によるものと思われます。
また、平均年齢も毎年上昇傾向です。
これは近年定年年齢がどんどん引き上げられていることに起因していると考えられます。
逆に50歳代は15.6%、60歳代以降の利用率は10.9%という結果で、申込可能であっても、やはり長くローン返済期間を取れない年齢のローン利用率は少ないことが分かります。
この結果からわかるように30代〜40代が住宅ローンを組む目安の年齢と言えるでしょう。
団体信用生命保険)への加入
高齢でのローン利用率が低い理由はもう一つあります。
それは団信(団体信用生命保険)の加入は若いうちが有利だからというものです。
団信は、住宅ローンの名義人が亡くなった場合などに住宅ローンの残高をゼロにすることができる保険です。
住宅ローンを利用する場合、一般的に団信への加入が必要です。
団信は生命保険であるため、自分の健康状態が悪かったり、直近で大きな病気をしたりしていると審査に落ちる可能性もあります。
そのため、病気やケガのリスクの高い高齢になると、ローンが組みにくくなると言われるのです。
住宅ローンは何歳までに完済すべき?
住宅ローンを何歳までに完済すべきなのか、色々な角度から考えてみましょう。
完済時の平均年齢
まずは一般的な完済年齢を、上記で紹介したフラット35利用者調査(https://www.jhf.go.jp/files/400366726.pdf)の結果から考えてみましょう。
この調査では、借入期間の平均は32. 6年で、中央値は35. 0年となっています。
前述のように、ローン利用時の平均年齢は42.8歳、中央値は41歳となっています。
この数値に上記の借入期間を足したのが下記となります。
42.8歳(ローン利用時平均年齢)+32.6年(平均借入期間)=75.4歳
42.8歳(ローン利用時平均年齢)+35年(借入期間中央値)=77.8歳
41歳(ローン利用時年齢中央値)+32.6年(平均借入期間)=73.6歳
41歳(ローン利用時年齢中央値+35年(借入期間中央値)=76歳
これらの数字から、完済時の平均年齢は73.6歳〜77.8歳と予測できます。
ただしフラット35では返済期間を35年にしている人が多く、一般の住宅ローンに比べて期間が長い傾向にあることに注意してください。
完済年齢はどのように考える?
上記の結果から一般的には70代の内に完済する人が多いことが分かりましたが、実際何を基準にして完済年齢について考えるのがいいのでしょうか。
定年退職後、多くの人は収入が減少し、年金や貯金で生活することになります。
老後に住宅ローンの支払いが残っていると、その返済負担が家計を圧迫することになりリスクとなります。
安定した収入がある年齢のうちに、住宅ローンを完済できるように返済計画を立てましょう。
例えば
・頭金を払い、ローンの返済額を減らす
・ローン返済と子どもの教育費のかさむ時期が過ぎてから繰上返済を行い、返済期間を短縮する
・退職金やボーナス等の資金を使って繰上返済を行う
などが有効な方法です。
そのため、退職金の受け取り額をきちんと把握しておくことが大切です。
余裕がある状況なら、繰上返済を行い、なるべく70歳までには完済することを目標にしましょう。
住宅ローンを組むときの注意点
それでは、年齢以外でローンを組む際に気を付けるポイントはどこでしょうか。
金利の種類をきちんと検討する
ローンの金利には
- 変動型
- 全期間固定型
- 固定期間選択型
という
3つのタイプがあります。
金利が高くなれば高くなるほど、毎月の返済額も高くなるため、どの金利タイプに設定するかしっかり確認しましょう。
金利タイプの特徴
変動型
市場の金利などの動きと連動しているため、金利が変わる可能性があります。
固定金利と比べて、現在は低金利であるというメリットがあります。
原則半年ごとに借入金利の見直しがあり、金利に変化が生じても元金部分と利息部分の割合を調整するため5年間は返済額がそのままです。
5年後に金利の上昇で増えた利息分が返済額に上乗せされます。
ただし返済額は前の5年間の1.25倍を超えないことという制限があります。
全期間固定型
全期間固定型では完済まで金利は変わりません。
変動型とは異なりたとえ市場の金利幅が上下しようとも、その動きには左右されません。
変動型と比べると、金利は少し高めとなります。
市場の金利動向に影響されることはなく毎月一律の返済額を返すため、返済計画を立てやすいというメリットがある反面、市場金利が下がった場合でも、変動金利と比べて高い金利のまま返済し続けなければならないというデメリットがあります。
固定期間選択型
固定期間選択型では、最初何年か固定金利でその後変動金利にするというタイプです。
最初に金利の固定期間を何年にするかを選択し、その期間が終了すると変動型にするか固定期間のままでいくかを選択します。
経費や維持費も考慮する
住宅を購入する場合、必要なお金は物件や土地そのものの購入費だけではありません。
購入時にかかる諸経費や維持費・固定資産税なども考慮しましょう。
購入時にかかる諸経費
購入時の諸経費とは、手続きに必要な税金や手数料のことをいいます。
- 手付金などの前金
- 登録免許税、不動産取得税などの税金
- 不動産登記を依頼する司法書士への報酬
- 住宅ローン契約の手数料など(手数料、ローン保証料など)
などがあります。
マンションを取得する場合に必要な諸経費
固定資産税
不動産を購入すると固定資産税を毎年払うことになります。
また、エリアによっては固定資産税に加えて都市計画税を払う必要が出てきます。
不動産を取得すると課せられる税金
維持費とは購入後、物件の修繕や維持に使う費用です。
例えば
- 保険料(火災保険・地震保険・、団体信用生命保険など)
- 修繕費
- リフォーム代
- 駐車場代・駐輪代
- マンションの場合管理費・修繕積立費
これらは物件を所有している限りかかる費用です。
ローンと合わせてこちらの額も払えるかよく考えておきましょう。
【まとめ】
住宅ローンは70歳未満まで借り入れ可能ですが、80歳までに完済しないといけないため、逆算して30~40代で住宅ローンを借り入れるケースが多くなっています。
とはいえ、ライフプランは人それぞれです。
高齢になっても安心して生活できるように、ローンが返せるかきちんとシミュレーションして返済計画を立てることが重要です。