不動産担保ローンを利用するときに、どのような物件を借入れの際に利用すべきか考えるでしょう。不動産担保ローンは融資を受ける代わりに、物件を銀行に担保として提出しなくてはいけないため、しっかり選択すべきです。
ただ、不動産担保ローンでも物件によっては審査を通過できない可能性があるため、しっかり確認しておくべきです。特に共有名義になっている物件の場合は「利用できるのか?」と悩むことでしょう。持分融資が可能なのか紹介しましょう。
持分融資や所有権融資とは何か?
不動産担保ローンに利用できる物件は、自分のみが所有している物だけでなく、共有しているものでも利用が可能です。ライフスタイルの変化やライフイベントなどの理由で、契約中に持分融資から所有権融資に変更されるケースもあるからです。ただ、変更に伴うことで持分融資や共有名義など様々な言葉が出てきます。それぞれの意味や内容について解説しましょう。
不動産担保ローンの持分融資
不動産担保ローンの際に持分融資という言葉がありますが、これは所有している不動産が共有名義であり、自分以外の名義人から融資の承諾を得られないときに受ける方法です。共有名義にしている場合はすでに複数の人が持分として登記事項証明書にも記載されています。共有名義になるのは例えば
・夫婦で資金を出し合ってマイホームを購入した
・親や兄弟と話し合って不動産を購入する
・相続で不動産を複数人で共有することになる
・マンションの共用部分を把握する
・知人と資金を出し合い不動産を購入する
などです。
そして、共有持分になれば、それぞれの所有割合が割り振られることになるでしょう。例えば、上記の夫婦でマイホームを購入した場合は、夫が所有割合6割、妻が4割となっているなら共有持分となります。
土地を売却したときに収益が1,000万円であれば夫は600万円、妻は400万円を受け取ることが可能です。また、共有持分の割合は資金の割合で決定するため多く出資した方が、より持分を多く得ることができます。共有持分の内容として把握しておきましょう。
不動産担保ローン所有権融資
不動産担保ローンでは、所有権融資と言われるものがあります。これは、融資申請者が名義人の不動産を担保として借入れを行える方法であり、持分融資と比較すると金利が低いなど条件が良いのがメリットです。持分融資を始めに行っていても所有権融資に変更することができるため、用途に合わせて利用可能です。
ただ、持分融資から所有権融資に変更する際は、いくつかポイントを把握しておく必要があります。まずは名義人です。所有権融資に変更するときは名義人の変更を行わなくてなならず、共有名義人が未成年の場合は連帯保証人か物上保証人のどちらにするのか決定しなくてはいけません。
また、所有権融資に変更するときは、手続きが多少複雑になる部分もあるため、早めに検討して後回しにしないようにする必要もあります。金利の点で有利にすることができるため、状況によって利用できるなら、早めにした方が数十万円、数百万円の損失を生む場合もあります。所有権融資と持分融資を比較して検討しましょう。
共有持分で不動産担保ローンを借りるときの注意点
共有持分としての物件で融資を受けるときは、注意点があるため確認しておくポイントがあります。持分融資を利用して不動産担保ローンを組むことはできますが、共有持分だといろいろな障害が起こることもあります。以下の点を把握しておきましょう。
連帯保証人や物上保証人が必要になる
共有持分の場合は、連帯保証人や物上保証人が必要になるケースが多いです。例えば、夫婦で1つの不動産を提供する場合は自分だけでなく配偶者の同意の上で担保設定する必要があります。
所有権を共有されている方が連帯保証人とならなくては、審査で通過することができないため、共有名義している人と相談して連帯保証人や物上保証人になってもらうようにすべきです。
連帯保証人の場合は契約者が借金を返済できなくなった場合、肩代わりしなくてはいけないため、夫婦や親族以外の知人に頼む際はリスクが大きい場合もあります。物上保証人は連帯保証人と異なり、借金全てを返済する必要がなく、物上保証した自分お不動産を手放す、または自分で返済するのか選択することが可能です。
物上保証人の方が、万が一の際でも返済リスクを軽減することができますが、どちらの保証人もノーリスクではないため、その点を押さえてトラブルが無いように相談しましょう。
持分融資を受ける際は借入額が少なくなることも
共有持分で共有名義人の人から承諾を得ることができなかった場合、持分融資を検討することができます。しかし、持分融資は自分の所有している割合から借入金額が決まるため、自分の納得した融資とならない場合もあります。
特に、共有名義の場合は所有権が分散されているため、割合によっては担保金額がかなり低くなってしまう可能性があります。持分融資で資金を得たくても、自分の予想以下の金額であれば意味が無いため、事前に相談しておくことが大事です。
また、持分融資を提供している会社は限られていることが多く、一部のみです。つまり、持分融資をしたくても提供会社自体を探すのが難しいこともあります。そのため、持分融資を考えているなら金額と提供先の両方を見つけるようにしましょう。
持分融資の場合は大手での借入れは難しい
不動産担保ローンの設定をするときに、大手の会社にこだわる人もいるでしょう。しかし、持分融資を考えているなら、大手での借入れは難しい場合も多いです。上記でも紹介しましたが、持分融資は一部のみの会社が提供していることが多く、ノンバンク系や中小企業がほとんどです。
大手の場合は、持分融資ではなく所有している物件での借入れを検討するため、利用が難しいです。ノンバンク系や中小企業でも問題ないようなら相談してみることができますが、信頼や安全性という点で大手にこだわる場合は、別の方法で考える必要性も生じるでしょう。
もし、共有名義以外に個人名義での物件があれば、大手でも不動産担保ローンを利用できる可能性が高くなるため、他にも担保にできるものがあるなら、物件の選択を変えてみることもできるでしょう。
【まとめ】持分融資による不動産担保ローンは難しい
持分融資によって不動産ローンの利用を考えることができますが、提供先が少ないことや金利が高くなること、また融資額が少ないなど、いろいろなデメリットがあるため利用は難しいと言えます。
もし、共有名義による物件で担保ローンを組みたい場合は、了承を得ることや連帯保証人や物上保証人になってもらう必要があるため、しっかり確認しておく必要があります。持分融資のリスクを理解した上で検討してみてください。