不動産担保ローンで重要なのは担保である不動産の価値です。
しかし、この不動産の価値は、一体どのように評価され、どのようにして借り入れ上限額が決まるのでしょうか。
今回の記事では、不動産の評価について解説します。
気になる不動産担保ローンを利用する際のポイントも紹介します。
不動産評価額の算出方法
不動産担保ローンで重要なものと言えば、抵当権を設定する不動産の価値。
その価値を評価する指標や評価額の算出方法について以下で紹介していきます。
不動産評価額とは
不動産評価額とは、その名の通り不動産の評価を示す価格です。
この不動産評価額によって不動産の取引価格や税金が決められており、重要な指標となっています。
この不動産評価額は、公示価格、実勢価格、固定資産税評価額、基準地価、路線価の5つの指標によって評価されます。
目的により、確認する指標は変わるため注意しましょう。
公示価格
公示価格とは、国土交通省土地鑑定委員会が毎年3月に公示している「1月1日時点における標準地の1㎡あたりの地価」です。
住宅地・商業地・宅地見込地・準工業地・調整区域内宅地が対象で、2名以上の不動産鑑定士が現地調査を行い決定した地価となっています。
公示価格は、土地売買の指標や公共事業の土地取引、金融機関の担保評価などに使われています。
実勢価格
実勢価格は時価とも言われ、実際に市場で取引された価格のことです。
固定資産税評価額は、一般的に実勢価格の70%になるとされています。
実際に取引が行われていない場合、周辺地域での過去の取引や固定資産税評価額などを参考に決定します。
固定資産税評価額
固定資産税評価額とは、国が定めた固定資産税評価基準に基づき市町村が算出した価格です。
3年ごとに見直され、この価格から市町村に収める固定資産税や都市計画税等の納税額が決定されます。
固定資産税評価額は固定資産税の納税通知書添付の課税資産明細に記載されています。
土地の固定資産税評価額は、1月1日に定められる公示価格の約70%程度が目安とされています。
基準地価
基準地価とは都道府県が公表する「毎年7月1日時点における全国2万ヶ所以上の基準地の1㎡あたりの価格」のことです。
1か所につき1人以上の不動産鑑定士が鑑定しています。
基本的には公示地価と同じですが、
- 都市計画区域外も対象になっていること
- それぞれ公表する時期が違うため、公示地価と基準地価を比較して半年でどのくらい変化があったかが分かる
という特徴があります。
都道府県や政令指定都市の土地取引での価格の基準、一般の土地取引価格の目安に使われます。
路線価
路線価とは、道路に面する標準的な宅地の1㎡当たりの価格のことを指します。
路線価には、
- 相続税と贈与税を決定するための指標である相続税路線価
- 固定資産税評価額を決めるための指標である固定資産税路線価
の2種類が存在します。
一般的に路線価と言えば、相続税路線価を指すことが多いです。
相続税路線価は公示地価の80%となるように決められています。
建物評価額の計算方法
建物評価額は以下の方法で算出されます。
建物の評価額 =再建築価格 × 経年減点補正率 × 評点
再建築価格:評価する建物と同じものを建てる場合に必要な建築費
経年減点補正率:建物の経年劣化を数値化したもの。
建物は年月が経過するほど資産価値は下がるため、その補正に用いられる
評点:不動産のいいところ、悪い所を数字化したもの。補正に用いられる
建築費の約50〜60%が建物の評価額の目安なので、もし難しい場合はこの割合を使用して計算してみましょう。
また相続税や贈与税を決める場合、建物評価額=固定資産税評価額となります。
土地評価額の計算方法
土地の評価額の算出方法はいくつかあります。
そのなかでも代表的な
- 路線価方式
- 倍率方式
を紹介します。
路線価方式
路線価方式は路線価が決まっている市街地にある土地に用いられます。
算出方法は以下のようになります。
固定資産税評価額=固定資産税路線価×土地面積×評点
土地面積:固定資産税納付通知書に記載されている面積を使用
固定資産税路線価:国税庁ホームページに記載あり
倍率方式
倍率方式は路線価がなく、郊外や農村部にある土地の計算に使用されます。
以下に算出方法を記載します。
土地評価額 = 固定資産税評価額 × 地域ごとの倍率
固定資産税評価額:固定資産税納付通知書の明細に記載
地域ごとの倍率:国税庁ホームページで確認可能
不動産担保ローンの担保評価額
不動産担保ローンの場合、上記のような指標で決められた不動産評価額に担保掛目をかけた数値を担保評価額とします。
この担保掛目は金融機関や条件などによって異なりますが、約60〜80%が一般的です。
数式にすると以下のようになります。
担保評価額=不動産評価額×担保掛目(60~80%)
基本的にこの担保評価額が借入上限額となります。
しかし下記に記載したような担保以外の要素も考慮されるため、常に上限額一杯借りられるとは限りません。
あくまでも目安と考えておきましょう。
不動産評価額以外の借入可能額を決める要素
それでは借り入れの際、担保の不動産以外で、借入上限額に影響を与える要素には何があるのでしょうか。
その要素とは、借りる個人や法人の情報です。
例えば
- 職業
- 年収
- 資産
- 事業計画
- 会社の継続年数
- 信用情報
- 他社を含めた借入状況と返済状況
などが重視されます。
不動産担保ローンは借入額が大きく、「返済能力があるか」を重視されます。
そのため年収や職業はもちろん、法人であれば事業計画が練られているか、現時点で利益は出ているのかを確認されます。
また会社としての継続年数が長ければ、実績があるため審査に通りやすくなります。
滞納や他社の借入などの信用情報も厳しくチェックされます。
担保に設定する不動産の評価額が低くなりそうな場合、これらの要素を確認しましょう。
不動産担保ローンを利用するときのポイント
不動産担保ローンを使用する際のポイントにはどんなものがあるのでしょうか。
書類不備を避ける
不動産担保ローンは借入金額が大きいため、審査が厳しいことが多いです。
法人や個人事業主などの場合、本人確認書類や申込書だけではなく、事業計画書や確定申告、決算書など、詳しい事業の説明や現状などが分かる書類が数多く必要になります。
提出書類に不備があると、審査が遅くなり、融資が遅れる可能性があります。
また、事業計画書を提出する際は税理士などの専門家に相談するのがよいでしょう。
専門家の視点を取り入れることで、現実的でしっかりとした内容の事業計画書を作成できます。
ノンバンクのローンも検討してみる
ノンバンクは預金業務なども行う銀行とは異なる金融機関で、お金を貸す融資商品の提供に特化しています。
銀行と比べると比較的審査が厳しくなく、早く融資が行われます。
デメリットとして、金利が高いことと、総量規制が適用されるこどがあります、
【まとめ】
いかがでしたでしょうか。
不動産担保ローンに必要なのは、担保になる不動産の価値と、借りる人の支払い能力・信用力です。
特に法人や個人事業主の場合、担保を準備した上で、融資担当者に支払い能力が伝えられるような書類を準備していくことが重要です。