ここ最近、副業や早期リタイアへの手段の一つとして不動産投資が注目されています。
不動産を評価する際に重要な要素の一つが利回り。
この記事では、そんな不動産投資の利回りについて詳しく解説します。
さらに、地域による利回りの違いや利回りの高い物件の注意点などについても解説していきます。
ぜひこの記事を参考にしてみてください。
不動産投資の利回りとは
物件紹介や不動産広告でよく見かける「利回り」という言葉。
利回りには種類があることをご存じでしょうか。
この項目では利回りの定義や種類について紹介していきます。
不動産投資における「利回り」とは?
利回りとは、投資金額に対し得た利益の割合のことを指します。
不動産投資における利回りとは、物件の購入価格に対し年間でどれだけの収益が得られるのかを示す割合のこと。
この利回りを確認することで、単純な収益だけではなく資金回収までの期間などを予測することが可能です。
不動産投資における利回りは、物件を客観的に評価するための重要な指標となるのです。
利回りの種類
不動産投資の利回りは表面利回り、実質利回り、想定利回り、現行利回りの4種類にわけられます。
ここではよく使われる表面利回りと実質利回りの二つを紹介していきます。
●表面利回り…グロス利回りとも呼ばれます。
一般的に物件紹介で記載されている「利回り」は表面利回りのことを指します。
物件の価格に対し現時点での利益(家賃収入など)が得られる割合で、物件の収益性を示す数値となっています。
年間の不動産投資の利益の合計を物件価格で割ることで計算できます。
●実質利回り…実質利回りは表面利回りから経費を差し引いたものです。
かかる税金や経費などのコストを考慮に入れた上で、購入価格に対して手元に残る現金をどれだけ実際に得られるかを示します。
コストを加味する分計算が複雑になりますが、こちらの方がより現実的な収益性が分かるというメリットがあります。
利回りの計算方法
不動産投資する上で、重要なファクターである利回り。
この利回りはどうやって計算するのでしょうか。
不動産投資でよく使われる表面利回りと実質利回りの計算方法を例に示します。
表面利回り
表面利回り=(年間の家賃収入÷物件を購入した価格)×100
例:物件の購入価格:1,000万円
年間の家賃収入:100万円の場合
(100万円÷1000万円)×100=10%
実質利回り
実質利回り={(年間の家賃収入-年間の不動産投資でかかった経費)÷(物件を購入した価格+購入時の経費)}×100
例:物件購入価格:1000万円
年間の家賃収入100万円
年間の不動産投資でかかった経費10万円
購入時の経費100万円の場合
{(100万円-10万円)÷(1000万円-100万円)}×100=約10%
不動産投資の利回りの相場
不動産投資の利回りの相場は、物件の種類、立地によって異なります。
それぞれどのような特徴があるのでしょうか。
地域別利回りの相場
2024年1月から3月における地域別の具体的な利回りの相場は以下の表の通りです。
地域 | 区分マンション | 一棟アパート | 一棟マンション |
北海道 | 11.74% | 11.58% | 8.65% |
東北 | 12.38% | 11.86% | 10.94% |
首都圏 | 6.35% | 7.55% | 6.81% |
信州・北陸 | 16.07% | 13.19% | 12.74% |
東海 | 9.57% | 9.03% | 9.17% |
関西 | 6.91% | 8.59% | 8.26% |
中国・四国 | 13.04% | 11.46% | 11.72% |
九州・沖縄 | 9.39% | 9.26% | 8.93% |
出典:不動産投資と収益物件の情報サイト健美家「収益物件 市場動向 四半期レポート 2024年1月~3月期」 https://www.kenbiya.com/doc/press/pre2024-04-09.pdf
上記の表では、物件の種類を問わず、一番利回りが低い地域は首都圏、逆に一番高い地域は信州・北陸となっています。
このように利回りは首都圏など都市部が低く、地方の利回りは高くなる傾向があります。
「高利回りの物件の方が得なのでは?」と思う方もいるでしょうが、それほど単純な話ではありません。
まず都市部のエリアは人口が多く、住宅の需要が常にあるため、不動産価格が高くなりがちです。
そのため、家賃収入に対する利回りこそ低いものの、賃貸の需要がありすぐ入居者が入る・売却できる(すぐに利益になる)可能性が高いと言えます。
対して地方は、人口が少ないため不動産価格が安い傾向があります。
これは、購入価格が安いものの、都市部と比べてすぐに借り手・買い手がつくとは限らない(すぐに利益にならない可能性が高い)ことを示しています。
つまり
都市部の不動産→利回りはあまり高くないが、安定して利益が生まれる
地方の不動産→利回りは高いものの、そもそも現実的に利益にならない可能性が高い
ということが言えます。
築年数による利回りの相場
地域性以外に、大きく利回りに影響を与えるものとして築年数があります。
以下は築年数別の利回り(全国)を記載した表になります。
区分マンション | 一棟アパート | 一棟マンション | |
築1 0年未満 | 4.4% | 6.32% | 4.99% |
築10年~ | 4.69% | 7.32% | 6.49% |
築20年~ | 7.68% | 9.46% | 8.31% |
出典:不動産投資と収益物件の情報サイト健美家「収益物件 市場動向 四半期レポート 2024年1月~3月期 https://www.kenbiya.com/doc/press/pre2024-04-09.pdf
表によるとどの物件も築年数があがると利回りが高くなる傾向があります。
この傾向は都市部も地方も変わりありません。
この原因は、築年数が経過した中古物件は建物・設備もその分老朽化していると考えられ、新築よりも人気が落ち、価格が安くなる傾向にあるためです。
そのため、空き部屋を抱える可能性が高く、利回りはよくてもリスクが高くなります。
利回りの高い投資にはどうしてもリスクがついて回ります。
どのような投資が自分に向いているか、資産状況を見てよく考えてみることをおすすめします。
不動産投資の理想の利回りは?
ここまで、不動産投資の利回りの相場と特徴を紹介してきました。
「それじゃあ理想的な不動産投資の利回りってどのくらいなの?」と思う方もいるでしょう。
残念ながら、分かりやすい不動産投資の理想の利回りや利回りの最低ラインというものは存在しません。
先程の項目でも説明したように、そもそも物件のエリアや築年数だけでも平均利回りが大きく異なります。
また、不動産投資は副業目的なのか、本業なのか…などによっても異なってきます。
利回りは重要ですが、あくまでも指標にすぎないことを理解することが大切です。
不動産投資は副業?本業?
例として不動産投資を副業とする場合と本業として行う場合の理想の利回りについて解説します。
不動産投資を副業として行う場合には、3%~4%ほどの利回りの物件がいいと言われています。
利回りが低い物件は、人気が高く、空室率が低い傾向があります。
駅近新築や人気エリアの物件が該当します。
本業のために投資に捻出できる時間が少ないのであれば、低い利益率であっても、確実に利益が出て売却しやすいようなリスクの低い物件を押えていた方がいいでしょう。
逆に、大家など、不動産投資を本業とする場合は、利回りは高めの8%以上がいいとされています。
高い利回りの物件は、収益性があり、確実な収入源になる可能性があります。
しかし、高利回りの物件は立地条件が悪かったり、築年数が経過したりしている中古物件が多くなります。
そのため、
・賃貸利用の需要が少ないため、空室が多くなり利益が低くなる
・空室対策として修理やリフォームすることで、費用が嵩む
などのリスクを抱える可能性があります。
こういった不動産を購入する際にはリスクが高く、慎重な検討が必要になるため、本業での投資の場合に購入することを勧めます。
【まとめ】
いかがでしたでしょうか。
不動産投資の利回りは、不動産の収益性を評価する際の重要な指標となります。
高利回りの投資は魅力的ですが、その分リスクも高くなります。
リスク管理を十分にしながら、資産状況を判断して計画的に不動産投資を進めることが重要です。
ぜひこの記事で紹介した利回りの知識を活用し、物件を検討していただければと思います。