不動産事業を行うに当たって重要なのが仕入れ資金。
商品である不動産は高額であるため、融資の申込を検討することも大切です。
今回の記事では不動産の仕入れ資金のための融資について解説します。
不動産の経営に必要な仕入れ資金はどれくらい?
不動産は単価が高いため、どうしても仕入れ資金もかさみます。
不動産売買を行う場合の仕入れ費用は、一つの物件につき数百万円〜数千万円、場合によっては数億円必要です。
特に創業当初の場合、自己資本から仕入れ資金を全額出すのは難しいでしょう。
また購入した不動産はすぐに売れる訳ではなく、売れるまでには管理費や維持費、税金がかかってきます。
事業が軌道に乗るまでの間、管理費などの金額も含めて金融機関からの融資を検討しましょう。
仕入れ資金を融資で受ける方法
保証協会付融資で借りる
創業して間もない不動産会社におすすめの方法です。
保証協会付融資とは、保証協会に保証をしてもらい銀行などの民間の金融機関に融資を申し込む方法です。
万が一借りたお金を返せない場合、保証協会が代わりに借りたお金を支払ってくれるため、銀行側からしてみると貸したお金が戻ってこないというリスクが減ります。
そのため創業したばかりで実績のない不動産会社であっても、金融機関の審査に通過しやすくなります。
日本政策金融公庫の新事業育成資金
日本政策金融公庫は個人事業主や中小企業を対象に融資を行う国が出資した金融機関です。
「新事業育成資金」は、開業後おおむね7年以内の人が利用できる融資制度で、融資限度額は7億2,000万円、融資金の返済期間は7年以内(うち据置期間2年以内)となっています。
ただし、審査には数週間かかり、審査のために必要な書類も多く、面談もあります。
とは言え要件を満たしていれば比較的融資は通りやすいため、計画的に融資の申し込みを行いましょう。
短期借入金
短期借入金とは、1年以内に返済しなければならない融資のことです。
プロジェクト融資
プロジェクト融資とは、不動産販売事業を行うため元手となる不動産を購入する場合に受けることが可能な不動産会社向けの融資です。
建売や中古マンションの販売などは、その多くがプロジェクト融資を受けています。
大半が1年以内に完済する必要がありますが、融資期間が2〜3年のケースもあります。
融資額は一般的には物件評価額の約80%です。
しかし、金融機関や物件の種類によって変わることもあり、中には100%以上借り入れられることも。もちろん逆に80%に満たないこともあります。
賞与資金・納税資金
賞与資金とは、賞与を支払うためのお金のこと。
納税資金とは税金として納めるお金のことで両方とも運転資金にあたります。
この二つは半年に一回支払うため、返済期間は次の賞与や納税のタイミングである約半年が一般的です。
融資期間が半年と短く、用途が分かりやすいため、創業間もなくても比較的審査に通りやすい融資です。
例え納税や賞与が自己資金から賄えても、その後不慮の事態などで資金不足になるのを防ぐため、あえて融資を受けるパターンもあります。
長期借入金
長期借入金とは、1年以上の返済猶予期間のある融資のことです。
長期保有融資
物件で賃料収入を得ることが目的の融資を指します。
融資期間は金融機関によってさまざまですが、「融資期間=法定耐用年数-経過年数」が基本です。
金融機関によってはその年数より長めにする場合も。
運転資金
運転資金とは企業が事業を行うために必要な資金です。
しかし不動産業の場合、運転資金という形での融資の審査を通過することは難しいとされています。
これはほとんどの場合、既に創業時や不動産購入時に融資を受けていることが多いためです。
運転資金として追加融資を行うと、融資が返済できず銀行側が回収できないリスクが上がります。
賃料や売却益などの収入の中で運転資金をやりくりするのが基本と言えるでしょう。
設備資金
不動産業における設備資金とは、事業に関わる設備を購入するための資金です。
事業に使用する不動産や備品、車両や機材などの購入資金のことを指します。
創業時や事業拡大時には大きな設備資金が必要になるため、どの金融機関も設備資金の融資を用意しています。
どのくらいの期間利益を回収していくのかを考えつつ、返済期間を設定することが大切です。
仕入れ資金を確保するために大切なポイント
融資を受けやすい環境を作る
不動産売買などの場合、高額な融資が頻繁に必要になります。
その際、必要なタイミングで仕入れ資金として融資を受けられるかどうかが重要なポイントになってきます。
そのため、安定した業績を残し続ける事、銀行から提示された融資条件を常に達成してることが重要です。
また、決算書も重要です。
バランスよく健全な経営を行う印象が強い決算書の方が有利です。
科目内訳と貸借対照表とが一致していないような決算書の場合、銀行にいいイメージはもってもらえません。
悪い印象を残さないために整った決算書を作成することを心掛けましょう。
資金繰り表を作る
帳簿上で売上があっても、実際に現金がなければ経営は成り立ちません。
そのため日頃から資金繰りには注意しましょう。
資金繰り表(収入と支出をまとめ、現金の収支や過不足が一目で分かる表)を月に一度は作成・検討しましょう。
この表を作成することで、会社の現金の流れが分かりやすくなるため、今後資金が不足する可能性を判断したり、問題点を把握したりすることができます。
また融資を依頼する際に資金繰り表があれば、計画的に資金運用が行われていること、融資したお金が即使い込まれるような自転車操業ではないことが銀行側に伝わり、審査に有利となります。
可能なら融資セールスを受ける
銀行は、時々融資を提案する融資セールスを行っています。
融資実績ができると、お得意様として銀行が融資セールスをしてくる場合もあります。
資金に余裕がある場合「ローンを組まなくてもいいのでは?」と思いがちですが、実際のところ資金に余裕がなくなってからでは融資はしてもらえません。
それほどのリスクがなければ、資金繰りがうまくいっている間に融資を受けておくのがいいでしょう。
納税資金や賞与資金の融資を受けておく
この二つは比較的審査に通りやすい融資であるため、納税や賞与のタイミングで融資を希望することで、資金が増やせます。
半年しか借りられないとはいえ、不動産業は運転資金の融資を受けづらいこともあり、検討する余地はあるのではないでしょうか。
【まとめ】
不動産事業は取引の前にどうしても大きな支出が発生してしまいます。そのため、計画的な資金繰りと融資の対応が重要になってきます。
融資の決定には時間がかかる事も多いため、必ず余裕を持った経営を行いましょう。