不動産相続税の税金対策について解説!ポイントや注意点も紹介!

相続には様々な問題が付き物です。

特に相続税は思わぬ出費となり、相続者が苦しむことも。

今回の記事では、相続する際の不動産を活用した税金対策について解説していきます。

相続対策とは

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相続は相続人の数や財産の額によってはトラブルや問題を引き起こしかねません。

お葬式を含めた様々な事後処理の傍ら、その問題を処理するのはとても大変です。

相続対策はそういった問題を生前に解決しておくことで、いざという時に円滑に相続を行うための準備です。

問題としては、主に「遺産分割をどうするか」「相続税対策」が挙げられます。

生前にしておくべき不動産の相続税対策

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相続税対策とは

遺産額が基礎控除額である「3000万円+600万円×法定相続人数」を超えると、その超えた額が相続税の課税対象となります。

相続税対策とは、生前にできるだけこの相続税を節税する対策を行うことを指します。

また、相続税として支払う納税資金の準備も行いましょう。

不動産を利用した相続税対策の仕組み

相続税を抑える方法の一つに不動産を利用する方法があります。

相続を行う際現金より不動産の形で引き渡す方が、税金の負担を抑えられます。

これは相続税額を計算する際に使用される不動産の額は「相続税評価額」と言われるもので、実際に売却される価格の6〜8割程度になるためです。

そのため、不動産の売却価格と同等の現金を相続で渡すよりも一般的には節税になります。

家屋の相続税評価額は、固定資産税評価額と言われるものと同じです。

固定資産税評価額とは、固定資産税や不動産取得税などを計算する基準として市区町村が不動産を評価した価格です。

家屋の固定資産評価額は、経年劣化などを加味して3年に一度見直され、徐々に評価額が下がっていきます。

土地の相続税評価額は、路線価方式と倍率方式の二つがあります。

  • 路線価方式…路線価とは国税庁が定めた土地価格で、相続税や贈与税を計算する基準です。

その名の通り路線ごとに価格が決められています。

不動産売買の基準である公示価格よりも約2割程度低い評価となります。

  • 倍率方式…路線価が定められていない場所に適用されます。

固定資産税評価額に一定の倍率をかけた金額を評価額とします。

さら、賃貸アパートや賃貸マンションを相続する場合、自宅より土地と建物の評価額が3割ほど下がる可能性があります。

貸している土地を相続する場合も、借地の割合分の評価額が減ります。

これは相続して自分の所有物になったとしても、既に入居者がいるため自由に利用できないというデメリットが評価額に反映されているのです。

また、将来相続予定の賃貸物件を金融機関からお金を借り入れてローンで購入した場合、更に相続税額を抑えることが可能です。

そして相続税評価額を減額できる小規模宅地等の特例を使うと、相続税評価額を減額することが可能です。

この特例制度は被相続人の配偶者は無条件で利用できます。

不動産の相続税対策の注意点

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不動産の相続税対策は魅力的である一方、いくつか注意するべき点もあります。

相続税対策だと明確に分かる場合には節税が無効に

例えば元々高齢で死亡する少し前に不動産を購入していた、などの明らかに相続税対策と思われるケースの場合、税務所の判断によって相続税対策が無効になる場合があります。

「相続税対策が無効」というのは、相続税評価額から課税額を計算するのではなく、不動産の時価から課税額を計上するということを意味し、現金を不動産にした意味がなくなってしまいます。

相続税対策だと言える明確なラインというのは存在せずあくまで税務署の判断になりますが、以下の様な事は避けるようにしましょう。

  • 高齢にも関わらず、突然不動産を購入する
  • 相続税対策で不動産購入を行ったという旨が分かるような文言を不動産会社や銀行とのやりとりで行う

これは不動産購入だけではなく、売却のタイミングにおいても同様です。

例えば相続税が申告され、そこから3年以内に相続した不動産の売却が行われていることがその後の税務調査で発覚した場合、相続税対策が無効となる可能性が高くなります。

つまり、相続税を申告してからその3年以上は物件を保有しなければなりません。

被相続人の死亡を基準とするのではなく、あくまでも相続税申告から3年であることに注意してください。

収益性の低い不動産の場合、保有するのが難しくなる

前述したように相続税対策で不動産を購入したとしても、それが公になると相続税対策が無効になってしまいます。

そのため、相続人は相続税申告後3年は不動産を所有する必要があります。

また被相続人も相続税対策として不動産購入後、相続が発生するまで不動産を所有し続ける必要があり、相続税対策を行うには被相続人・相続人とも物件を長期間に渡って所有しなければならない可能性が高くなります。

そうした場合経営している物件の収益が赤字になると、所有が困難になってきます。

そのためある程度の収益性を維持できない不動産では、そもそも相続税対策を行えないのです。

また申告後3年経過して売却しようとしても、希望のタイミングで売れなければ相続税対策の意味がありません。

必ず物件の収益性や売却しやすさを考慮して、慎重に不動産を選定しましょう、

家族同士が揉めないよう争族対策も忘れずに

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税金対策も大切ですが、相続者同士で揉めることを防ぐ「争族対策」も重要です。

特に相続税対策で不動産を購入した結果、上記の通りすぐに売却して現金に戻すわけにもいかず遺産分割が困難になり相続者が揉める…というトラブルにつながる可能性も。

相続人が多い場合はこの問題が起きがちなので、生前から対策を行っておきましょう。

遺言書を作る

生前にあらかじめどの財産を誰に渡すのかを決めておき、それを遺言書に残しておくことでトラブルを避けることができます。

ただし遺言書は要件を守って記載しないと、無効になることがあります。

そのため料金はかかりますが、弁護士などの専門家にチェックしてもらうのもいいでしょう。

また抵抗がある方も多いかもしれませんが、生前元気な内に相続について身内と相談しておくのも重要です。

遺言を残すにしても、相続者自身の意思が反映されているか、されていないかでは心情も変わってきます。

元気なうちに相続について話し合い、希望を確認しすり合わせしておきましょう。

相続財産の一覧を作っておく

被相続人が突然亡くなって起こるトラブルの1つに「財産やその関係書類がどこにあるか分からない」というものがあります。

預金通帳や不動産の権利書等だけではありません。

相続人たちも存在を知らない口座の通帳や宝飾品、「タンス預金」としての現金などが後日片付け中に出てくる…というケースもあります。

逆にあると思っていた預金がなく、必死に調べた結果本人が使い込んでなくなっていたというパターンもあり、死後の財産の調査は困難を極めます。

後日財産が見つかった場合には遺産分割協議や相続税の申告をもう一度行わなければなりません。

この負担を減らすためにも、相続財産の一覧を生前にまとめておくことが大切です。

生命保険に加入し、相続人が受け取れるようにする

不動産は分配しにくく共有財産にした場合、その先の世代の相続でトラブルになる可能性があります。

こうした場合、生命保険金に加入し、不動産を相続する人以外は生命保険を受け取れるようにして不満を減らすという方法があります。

受取人が相続人の場合、500万円×法定相続人の数までなら相続税は非課税です。

【まとめ】

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いかがでしたでしょうか。

相続はやることが多く、問題が複雑になりがちです。

この記事の情報を利用して、できるだけ生前に相続対策を行い円滑に相続できるようにしましょう。

生前贈与を行い、元気な内に財産整理をしておくのも一つの手です。

また、相続対策はクリアすべき税金や法律の問題が多いため、必要な際は税理士や弁護士といった専門家にサポートを依頼しましょう。