不動産売買はお金がかかるため、税金だけでもできるだけ安く抑えたいですよね。
そういった負担を軽減するための制度が買い替え特例です。
この記事では、買い替え特例の内容について詳しく解説していきます。
買い替え特例を申請するために必要な書類についても詳しく紹介します。
ぜひご覧ください。
買い替え特例とは?
マイホームを売って代わりの住居に買い換えた際、売却で利益が出ることがあります。
その利益が高いほど、その際に発生する譲渡所得税も高くなってしまいます。
そのような負担を軽減するための制度が特定の居住用財産の買換えの特例(買い替え特例)です。
令和5年12月31日までに家を売って代わりの家に買い換えたとき、いくつかの要件を満たしていれば、譲渡所得税を将来に繰り延べることができます。
ただし、譲渡所得税自体が非課税になるわけではないことに注意しましょう。
事業用資産における買い替え特例
マイホームにおける買い替え特例とは別に、店舗や工場といった事業用資産を対象とした買い替え特例(事業資産の買換えの特例)もあります。
- 個人が事業用に利用している土地や建物等の資産を売却し、
- 期間内に別の事業用資産を取得、かつ取得日から1年以内に取得資産を事業用として使用する場合、
納税を先に繰り延べることができます。
元々の事業用資産の譲渡価額より新たに取得した資産の取得価額が多い場合には譲渡価額に20%をかけた額を、少ない場合にはその差額と買い替えた金額に課税割合をかけた額との合計を収入金額として、譲渡所得の計算を行います。
この事業用資産の特例も適用するためにはいくつかの要件を満たす必要があります。
参考:No.3405 事業用の資産を買い換えたときの特例https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3405.htm
買い替え特例のメリット
買い替え特例のメリットは、引っ越しや新生活の準備でお金がかかる時、多額の納税を行なわなくて済むという点です。
不動産物件自体の相場が高額なので、譲渡所得税も高額になり売主によってはすぐに用意することが難しい場合もあります。
税金を用意するために、お金を借りたり貯金を崩したりする必要がなくなるのです。
また、先延ばしにしていた譲渡所得税を納付するタイミングは自宅を売却する時です。
つまり、同じ家に住み続けるのなら譲渡所得税を納税せずに済むというメリットもあります。
買い替え特例の注意点
買い替え特例にはメリットだけではなく、注意するべき点もあります。
次の買い替え時に税金をまとめて払う
この特例は譲渡所得税を払うタイミングを先送りにするだけであり、次の売却時に発生する譲渡所得税と買い替え特例で先延ばしにした譲渡所得税を併せて払う必要があります。
「ずっとこの家に住み続けるから譲渡所得税は発生しない」と思っていても、病気や介護、火災や災害などによって家を手放す必要が出てくる可能性もあるため、注意しておきましょう。
特別控除や特例などと併用できない
マイホームの売却では優遇措置として3,000万円の特別控除や、軽減税率の特例等様々な特別控除があります。
しかし、この買い替え特例を使う場合、基本的に他の控除や特例とは併用できません。(譲渡損失の損益通算・繰越控除の特例は併用可で可能)
また買い替え特例の利用を辞めて、後から別の控除や特例に変える事もできないため注意しましょう。
買い替え特例を利用するときの要件
買い替え特例を利用するには、売却する家・購入する家、それぞれに多くの要件があります。
売却する家に関する要件
- 2023年12月31日までに売る
- 自分が住んでいる家屋や敷地、借地権の売却である
- 居住していない場合は、住まなくなった日から3年を経過する日の属する12月31日までに売却済み
- 売った年だけではなく、その前後1年にマイホームに関する他の特例を適用していない
- 売却代金が1億円以下である
- 売主様の居住期間が10年以、かつ家屋・敷地の所有期間が10年以上である
- 親子、配偶者など、特別な関係の人との売買でない
- 家屋を取り壊して売却する場合は、家屋と敷地の所有期間が取り壊される日の属する年の1月1日時点で10年を超える
- 取り壊した日から1年以内に譲渡契約を行っており、かつ住まなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売っている
- 取り壊してから契約までの間に賃貸駐車場など別の用途として使用していない
購入する家の要件
- 新しく購入したマイホームは、床面積が50㎡以上、土地面積が500㎡以下
- 売った前後1年間にマイホームを購入する
(売った年・その前年に購入した場合、売った年の翌年12月31日まで
、売った年の翌年に購入した場合、取得した年の翌年12月31日まで)
- 令和6年1月1日以後に入居する場合は、
・令和5年12月31日以前に建築確認を受けている
・令和6年6月30日以前に建築されたもの
・それ以外は一定の省エネ基準を満たすもの
を満たす事
- 耐火建築物の中古住宅を購入する場合、25年以内に建築されているか一定の耐震基準を満たしているかのどちらか
- 耐火建築物以外の中古住宅の場合、25年以内に建築されているか取得期限までに一定の耐震基準を満たしているかのどちらか
買い替え特例の要件は非常に多いため、国税庁ホームページで確認しましょう。
参考:No.3355 特定のマイホームを買い換えたときの特例
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3355.htm
買い替え特例の利用に必要な書類
買い替え特例を適用して課税のタイミングを先にする場合、売却した年の翌年の確定申告で手続きする必要があります。
その際、確定申告書と共に必要書類を提出しなければなりません。
書類には、次のようなものがあります。
- 譲渡所得の内訳書
- 売った家を購入した際の売買契約書
- 売った家を売却したときの売買契約書
- 売った家の所有期間が分かる登記事項証明書などの書類
- 購入した家の登記事項証明書
- 購入した家の売買契約書の写し
- 購入した家の建築済証・確認済証
- 耐震基準適合証明書(中古物件の場合)
- 住民票(住所が異なる場合)
必要な書類が準備できて、確定申告書への記入が終われば、提出を行いましょう。
提出方法は、税務署の窓口へ提出、郵送やオンラインなどでも対応しています。
不安がある場合は窓口で提出すれば間違っている点を直接指摘してもらえます。
確定申告の時期、どうしても窓口は混雑するため、早めの時期に提出しに行きましょう。
【まとめ】
いかがでしたでしょうか。
買い替え特例は多額のお金の出費を先送りできるため、マイホームに引っ越し後の新生活で出費が多い時には助かる制度です。
ただ再度マイホームを買い替える際、買い替え特例で支払わなかった分の譲渡所得税の支払いもまとめて行うため注意しましょう。
また、買い替え特例を使用するために必要とされる要件が売却する家・購入する家共に多く、素人では判断がつかないこともあります。
不明な点があれば不動産会社や税理士などの専門職に相談してみましょう。