「戸建の購入を検討している」「将来は、投資用の不動産も購入したい」などの理由からローンを組むことを検討することがあるでしょう。
しかし、「不動産投資ローンを組むと住宅ローンを組めないのではないか」「どちらを先に組んだ方がいいのか」など不安に感じてしまう方もいらっしゃいます。
そこで今回は、不動産投資ローンと住宅ローンを併用できるかについて解説します。
これからローンの利用を検討している人は、ぜひ参考にしてみてください。
不動産投資ローンと住宅ローンの違い
不動産に関するローンですが、どんな違いがあるのでしょうか。
ローンの借り入れを受けるためには、情報を整理する必要があります。
そこで、まずは不動産投資ローンと住宅ローンの違いについて解説します。
ローンの目的
不動産投資ローンと住宅ローンは、使い道が違うので注意しましょう。
不動産投資ローンは投資用の物件に対して融資を受けます。
それに対して、住宅ローンは個人が住む物件に対して融資を受けます。
具体的な例はこちらです。
不動産投資ローンの使い道
・アパートなどの投資用不動産の購入資金
住宅ローンの使い道
・家屋建築資金
・ご自身またはご家族が住むための戸建てマンション
・戸建ての新築資金
・現在借入中の住宅ローンのお借り換え
貸出総額の違い
不動産投資ローンと住宅ローンでは、貸出総額が変わります。
なぜなら、金融機関が評価する返済原資が違うからです。
具体的に例はこちらです。
住宅ローン | 不動産投資 | |
ローン原資 | 収入と貯蓄 | 収入、貯蓄、家賃収入 |
借入可能額 | 年収の5から6倍 | 年収の10倍から20倍 |
金利の違い
住宅ローンの金利は不動産投資ローンの金利に比べると低いです。
事業ではなく、個人が住む物件に対してローンを組むためリスクが低いからです。
一方、不動産投資ローンは家賃収入から融資残額を返済します。
もし、家賃収入が安定しないとどうなってしまうのか。
金融機関からすると、融資残額を回収できないとリスクが高くなります。
そのため、リスクを回避するために金利を高く設定します。
住宅ローン | 不動産投資ローン | |
金利 | 0.3〜 | 1.7%〜 |
年齢の違い
大幅な年齢の違いはありません。
住宅ローンの場合は、完済時の年齢が80歳に設定している金融機関が多いです。
なぜなら、団体信用生命保険に加入できる年齢が80歳までだからです 。
団体信用生命保険とは 、契約者が万が一返済できなくなった場合、住宅ローンの残高が全額弁済される保証制度です。
住宅ローン | 不動産投資ローン | |
年齢 | 満18歳以上満65歳未満 | 20歳以上70歳以下 |
最終返済時の年齢 | 80歳未満 | 80歳未満 |
団体信用生命保険に加入 | 加入が必須 | 加入が必須ではない※金融機関の商品によって異なる |
審査内容の違い
住宅ローンは、申込者の信用度と返済能力を総合し厳しく審査されます。
金融機関からすると、融資残額を回収できないことを恐れるからです。
年収が高いだけではなく、一定期間の年収が安定しているのかが重視されていると認識しておきましょう。
具体的な審査項目はこちらです。
・年収
・雇用先
・勤続年数
・連帯保証人
一方、不動産投資ローンは申込者の信用度と返済能力に加え、投資物件の事業計画書も
審査の対象です。
審査前に収益のシミュレーションを行うことをおすすめします。
具体的には、物件の評価基準は2つあります。
①積算評価
土地の価格と建物の価格をそれぞれを評価し、足し合わせて算出する評価方法です。
この方法によって、算出された価格を積算評価といいます。
②収益還元法
物件の収益性に着目して、将来の利益をベースに価格を算出する評価方法です。
この方法によって、算出された価格を収益価格といいます。
併用する場合の注意点
不動産投資ローンと住宅ローンを併用する場合、いくつかの注意点があります。
審査を有利に進めるために、しっかりと注意点を把握しましょう。
投資用の不動産には住宅ローンを利用できない
住宅ローンは不動産投資ローンに比べると金利が低いです。
金利が低いから住宅ローンで投資用の不動産を購入したい気持ちはわかります。
しかし、使い方を誤ってしまうと違法になるため注意しましょう。
購入の順番
不動産投資ローンを優先させましょう。
住宅ローンと不動産投資ローンを併用する場合、返済額が大きくなります。
例えば、投資不動産の収入が安定しない場合、住宅ローンの返済が重なると大きな負担です。
最悪の場合、抵当権で設定された不動産が売却されてしまいます。
大切な資産を失わないために、リスクを把握し購入の順番を検討しましょう。
賃貸併用住宅を検討する
住宅ローンで、投資物件を購入し賃貸をすることはできません。
しかし、例外として賃貸併用住宅の場合は認められます。
賃貸併用住宅とは、居住用と賃貸用のお部屋が用意された不動産です。
ただし条件があります。
それは、総面積のうち、居住用スペースは50%以上あることが条件です。
メリットは不動産収入から、住宅ローンの返済にあてられます。
一方デメリットは、居住用の分の家賃収入が少なくなってしまうことです。
ローンを利用するまでの流れ
①Webサイトからの相談
各金融機関のホームページから商品の内容を確認し相談のお申し込みをします。
②事前審査の申し込み
相談した内容をもとに事前審査をします。
③面談(借入申し込み)
面談では不明点を確認しましょう。
事前に必要な書類を確認しておくとスムーズに面談を進められます。
④本審査
申込書と提出書類を提出し本審査をします。
⑤契約
審査が無事に通ったあと、契約をします。
必要な書類を契約日までに準備しましょう。
⑥借入れ
契約の手続きが無事に完了すると、融資金が振り込まれます。
ローンを組むために必要な書類
金融機関によって必要な書類は異なるため、担当者に確認をおこないましょう。
必要な書類の比較例です。
住宅ローン | 不動産投資ローン | |
必要な書類 | ・世帯全員の住民票の写し・運転免許証またはパスポート・健康保険証・源泉徴収票 ・確定申告書一式・売買契約書全ページ・重要事項説明書全ページ間取図(パンフレット・チラシなど)・建築確認済証または建築確認通知書 ・建築確認申請書・建物配置図・各階平面図・立面図 | ・住民票の写し・印鑑証明書・身分証明証・源泉徴収票・住民税課税証明書・確定申告書(控) ・納税証明書・住民税課税証明書・売買契約書・重要事項説明書・工事請負契約書 または 見積書・事業計画書・賃貸契約書 または 見込み賃料・登記簿謄本(土地建物) ・公図・実測図・住宅地図・物件パンフレット・チラシ・販売図面・建築確認済証・間取り図・平面図・配置図・検査済証 |
【まとめ】注意点はたくさんある!利用する前にしっかり調べよう!
不動産投資ローンと住宅ローンを併用する際には、今回ご紹介したように注意すべき点が多々あります。
特にそれぞれのローンの違いについてポイントを確認しましょう。
例えば、住宅ローンで投資用の不動産を購入することは違法です。
不動産の購入は人生の中でも大きな取引となります。
不安に感じる点があれば、金融機関の担当者に確認を行いましょう。