抵当権(ていとうけん)設定者とは?抵当権者との違いをわかりやすく解説

「そもそも抵当権ってどういう意味?」

「抵当権者と抵当権設定者にはどんな違いがあるの」

「抵当権を設定することで誰にどんな利点があるのかなあ」

こんな疑問を抱える方も多いのではないでしょうか。

本記事では、「抵当権者と抵当権設定者の違い」「登記手続きの流れ」などをご紹介いたします。本記事を読むことにより「抵当権者と抵当権設定者の違い」について理解が深まります。住宅ローンを検討されている方は、ぜひ参考にしてください。

抵当権とは?

山積みの本

抵当権という言葉を聞いたことはあるが、抵当権の意味までは理解していないという方も多いでしょう。

抵当権とは、債務者の返済が滞った場合に備えて不動産を担保にとり、他の債権者に優先して弁済を受ける権利です。

簡単に説明すると「住宅ローンを組む際に購入する不動産を担保にする権利」です。

例えば、住宅ローンを組む際に、金融機関はローンの対象となる不動産に抵当権を設定します。抵当権を設定しておくことでローンの返済が滞った場合の回収手段を確保できるのです。

要するに「抵当権付きの物件」は、担保される借金が返済できなくなれば、金融機関により売却され、売却代金を返済に強制的に充当されます。

抵当権は「住宅ローンの手続き」に関係することが多いです。

住宅ローンをスムーズに組むためにも、抵当権について理解を深めていきましょう。

抵当権者と抵当権設定者の違いとは?

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抵当権を設定する時には、「抵当権者」と「抵当権設定者」という2つの立場があります。それぞれどのような違いがあるのか見ていきましょう。

「抵当権者」は、抵当権設定者が住宅ローンを返済できなくなってしまい債務不履行に陥った場合に、抵当権を設定した不動産から優先的に弁済を受けられる立場のことです。

例えば、住宅ローンを組む場合は、金融機関が抵当権者になります。

一方で「抵当権設定者」は、自分が所有する不動産に抵当権を設定する債務者です。

抵当権設定登記の手続き【5つのステップ】

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抵当権設定登記の手続きをする際には、5つのステップがあります。

  • 住宅ローン契約を結ぶ
  • 抵当権設定契約を締結
  • 抵当権設定登記に必要な書類を用意する
  • 登記申請を行う
  • 金融機関に提出する

ひとつずつ見ていきましょう。

①住宅ローン契約を結ぶ

住宅ローン契約を借主と金融機関との間で締結します。

債権者と債務者の間で、「お金の貸し借りに関する契約」を結びます。

②抵当権設定契約を締結

借主と金融機関との間で住宅ローン契約が行われると、次は抵当権設定契約を結びましょう。

③抵当権設定登記に必要な書類を用意する

抵当権設定登記には、以下の書類を用意しましょう。

  • 抵当権設定契約書
  • 司法書士への委任状
  • 不動産の権利証
  • 所有者の印鑑証明(3か月以内)
  • 所有者の実印

抵当権の設定が行われるまでには、必要な書類を用意しておきましょう。

④登記申請を行う

一般的には対象不動産の所在地を管轄する法務局で、窓口申請や郵送により抵当権設定登記申請を行います。

また、ネット申請という方法もありますが司法書士専用です。

⑤金融機関に提出する

登記申請をしてから2週間ほどで登記手続きが完了します。

完了した後は「約束していた通りに抵当権を設定した」という事実を証明するために、登記事項証明書を取得し、金融機関に提出するようにしましょう。

抵当権設定登記の申請方法

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抵当権設定登記の申請方法が気になりますよね。

抵当権設定登記の申請方法は、以下の2つの方法があります。

  • 不動産登記申請書を作成して法務局に行く
  • 不動産登記申請書を書留郵便で送付する

ひとつずつ見ていきましょう。

不動産登記申請書を作成して法務局に行く

不動産登記申請書を作成した後、直接法務局の窓口まで出向いて書面申請を行いましょう。

登記申請したその日に受理されるため完了まで時間がかからないメリットがあります。

一方で、法務局に行く手間や交通費がかかってしまう点がデメリットです。

法務局が近くになくてお困りの方は、オンライン申請を活用して司法書士に相談してみるのも良いでしょう。

不動産登記申請書を書留郵便で送付する

不動産登記申請書を書留郵便で送付する申請方法があります。

法務局に行く必要がないのはメリットです。

一方で、申請してから完了までに時間がかかってしまうのはデメリットになります。

書留郵便で送付するのが不安な方は、司法書士事務所を活用して不安を解消してみましょう。

抵当権設定登記にかかる費用

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抵当権設定登記には、どんな費用がかかるのか気になりますよね。

抵当権設定登記にかかる費用では、「登録免許税」「司法書士手数料」について解説していきます。

登録免許税や雑費は、手続きすると必ずかかってしまう費用です。

司法書士手数料は、手続きをした場合にかかります。

登記の実費として登録免許税がかかる

抵当権設定登記の実費として登録免許税がかかります。

登録免許税は、登記を行う者が国に納める税金です。

抵当権設定登記の場合の税額は、原則として次の計算式で求めます。

登録免許税額=課税標準額✕0.4%

課税標準額を3,000万円の場合は「3,000万円×0.4%=12万円」となります。

抵当権設定登記は司法書士が関与する

抵当権設定登記は、専門的な知識が必要であるため司法書士にお任せするケースが多いです。

司法書士に依頼すると、司法書士への手数料がかかります。

手数料はローンの金額や司法書士によって変わってきますが、おおよそ5万円から10万円が相場になります。

どうしても司法書士の手数料を安くしたい場合は、複数の司法書士事務所で見積もりを取って最も安いところを選択するのも良いでしょう。

抵当権に関してよくある質問

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抵当権に関してよくある質問では、「抵当権付きの物件を売却できるのか」「抵当権付きの物件を相続できるのか」について解説していきます。

抵当権付きの物件を売却することはできますか?

抵当権が設定されている物件でも売却することはできます。

抵当権付きの不動産でも自由に売買は可能。

しかし、抵当権を抹消後の売却が一般的です。

注意点として、現在所有している不動産の売却を考えた場合、その不動産に抵当権が付いているのであれば抵当権抹消登記手続きをしましょう。

抵当権付きの不動産を購入するのはリスクがあるため、不動産の購入を考える方も少ない傾向にあるからです。

金融機関も抵当権の付いた物件には融資をすることはないのが現状です。

抵当権付きの物件は相続できるのでしょうか?

「抵当権付きの物件」を相続できるのか気になりますよね。

結論として「抵当権付きの物件」は、相続できます。

債務者の死亡後も抵当権は残りますが、抵当権が付いている不動産も相続財産であり、遺産分割の対象になります。

親から相続する不動産に抵当権が付いていても、相続によって消滅するわけではないので注意しましょう。

【まとめ】抵当権の登録手続きについて理解しよう

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本記事では、「抵当権者と抵当権設定者」について解説しました。

「抵当権者」は、抵当権設定者が住宅ローンを返済できなくなってしまい債務不履行に陥った場合に、抵当権を設定した不動産から優先的に弁済を受けられる立場です。

一方で、「抵当権設定者」は、自分が所有する不動産に抵当権を設定する債務者であるとお伝えしました。

「抵当権設定登記の手続き」には、5つのステップがあります。それぞれのステップを踏まえて抵当権設定登記をする必要があります。

抵当権に関しては、「抵当権付きの物件を売却できるのか」「抵当権付きの物件を相続できるのか」などの質問がよくあります。こちらもチェックしてみましょう!