老後を安心して迎えるために、いくら資金を貯めればいいのか悩んでいる方は多いのではないでしょうか。
「持ち家があれば家賃はかからない」と思っていても、施設への入居が決まって家を手放したり、バリアフリー化のため思わぬリフォーム費用がかかったりする可能性も。
今回の記事では持ち家がある人の老後の資金について解説します。
持ち家を活用して資金を集める方法も紹介します。
安心して定年を迎えられるように、必要な情報を把握しておきましょう。
持ち家がある人に必要な老後資金の目安
2022年の総務省家計調査年報(家計収支編)によると、65歳以上の夫婦のみの無職世帯における月の平均支出は268,508円となります。
以下が内訳の一覧表です。
項目 | 金額 |
食料 | 67,776 |
住居 | 15,578 |
光熱・水道 | 22,611 |
家具・家事用品 | 10,371 |
被服及び履物 | 5,003 |
保健医療 | 15,681 |
交通・通信 | 28,878 |
教育 | 3 |
教養娯楽 | 21,365 |
その他の消費支出 | 49,430 |
非消費支出(直接税・社会保険料) | 31,812 |
合計 | 268,508 |
参考:総務省家計調査年報(家計収支編)
65歳以上の夫婦のみの無職世帯(夫婦高齢者無職世帯)及び
65歳以上の単身無職世帯(高齢単身無職世帯)の家計収支 (2022年)
https://www.stat.go.jp/data/kakei/2022np/pdf/summary.pdf
住居費の15,578円は家賃やローン返済ではなく、固定資産税の支払いだと考えられます。
また上記の調査では、年金を受給しても毎月22,270円不足していることが分かっています。
そのため今の高齢者の家庭では「持ち家がありローン返済も済んでいるが、毎月2万円の赤字。それを貯金で補っている」というケースが多くなっていることが分かります。
貯金が1000万円ほどありこの状況のままならば、後30年は生活できます。
しかしこの支出はほぼ生活費のみで、家の修繕費やリフォーム代、一番重要な介護費用や医療費などが含まれていません。
また、旅行や趣味による娯楽費などを考慮すると、この貯金額では不足する可能性が高くなります。
更に私たちが高齢者になる頃には現在の年金額と比べ、もらえる年金額が減っている可能性が高くなっています。
そのため約2000万〜3000万円程度貯金しておいた方が無難だと考えられます。
老後資金はいつから準備し始めるべきか
それではいつから老後資金の準備を始めればいいのでしょうか。
できればなるべく早いタイミングで始めましょう。
若いうちから月に少額でもいいので、老後資金として貯めておくのもおすすめです。
また結婚や出産・育児、マイホーム購入などは時期が近く出費も大きいため、その時期はなかなか老後資金まで手が回りません。
ライフイベントや子育てが落ち着く40代ごろからは大きな支出も減るため、本格的に老後資金の準備をする年齢の目安と言えます。
老後に持ち家を活用の方法
持ち家がある場合、老後もこのまま住み続けるか、それとも別の場所で暮らすかという選択肢があります。
どちらを選ぶかしっかり考えた上で、持ち家を活用しましょう。
リフォームを行う
老後を迎えて足腰が弱っていたり体力が低下している状態だと、持ち家で暮らすことは難しくなります。
そこで持ち家を住みやすくするために、段差をなくしたり手すりをつけたりといったバリアフリ―化のリフォームを検討してみましょう。
バリアフリー化のリフォームの場合、補助金を受けられるケースがあります。
自治体によって条件や金額など細かい部分は異なってくるため、気になる方はホームページなどで確認しましょう。
売却や賃貸を検討する
老後持ち家から引っ越しする場合、土地や持ち家を売却したり、賃貸として貸し出したりするパターンがあります。
売却することでまとまったお金が入ったり、賃貸をして貸し出すことで月に定期的な収入が確保できたりと、その際の収益を老後の資金として利用することができます。
この収益を、介護施設の入居料や新しい家の購入資金に充ててもいいでしょう。
ただし古くなり修繕やリフォームをしてからではないと買い手・借り手がつかない場合、リフォーム費や修繕費が嵩んで損をする可能性もあるため注意しましょう。
リースバック
リースバックとは、持ち家を売却した後、その持ち家に賃料を払って住む方法です。
住み慣れた自宅を引っ越すことなく、まとまったお金を手に入れられます。
名義が変わるため住宅を家族に相続させることはできませんが、逆に老後に持ち家の管理を自ら行わなくて済むというメリットがあります。
リバースモーゲージ
リースバック同様、これまで通り持ち家に住みながらまとまったお金を手にいれられる方法としてリバースモーゲージというものがあります。
リバースモーゲージは住宅を担保にした融資制度です。
名義人が死んだあと、家を売却して一括返済を行います。
売却した時点で所有権が変わるリースバックと異なり、死後売却されるまで家の所有権は名義人のままです。
ただし、家族に家を相続させることができないという点はリースバックと同じです。
リースバック・リバースモーゲージともに、利用するには条件が設けられています。
そのため全ての人が利用できるわけではなく、審査に落ちることもあるため注意してください。
老後資金のオススメの貯め方
上記で説明したように、今後年金だけでは生活するのはどんどん困難になっていきます。
そのため、早いうちから老後のためにお金を貯めたり資産運用を行いましょう。
ここではそんな老後のためのおすすめのお金の貯め方を紹介します。
貯蓄型保険を利用する
とりあえず貯金を始めたい!という方には貯蓄型保険がおすすめです。
掛け捨ての保険と異なり貯蓄機能がついているため、満期時にはまとまったお金を受け取ることが可能です。
貯蓄型保険には様々な種類があります。
個人年金の場合、満期を過ぎると毎年一定額年金のように保険金を受け取ることができます。
養老保険は、ケガや病気などに備える保障がついている貯蓄型保険です。
保障期間が決まっており、その期間を終えると満期保険金を受け取ることができます。
投資信託を始める
投資初心者の方におすすめなのが、投資信託です。
投資したお金の運用はプロに任せるので、株式投資のように価格の変動を確認する必要がなく、難易度が低いといわれています。
長期間運用を続ければ、老後資金を確保できます。
とは言え、投資であるため、リスクはあります。
安易にスタートせず、専門家への相談や事前のリサーチを行いましょう。
NISA・iDeCo
NISA(少額投資非課税制度)とは、投資信託や株式投資の利益がある額まで非課税となる制度です。
少額からでも投資が可能で初心者でも挑戦しやすいと言えます。
NISAにはつみたて投資枠と成長投資枠の2種類があり、それぞれ投資可能金額や投資商品などが違っています。
iDeCo(個人型確定拠出年金)は、自分で掛け金を出して運営を行い、資産を形成する年金制度です。
掛金が全額所得控除となり、所得税や住民税を節税することができます。
また、掛金の運用益に税金がかからずお得な制度です。
注意点としてiDeCoはいつでもお金を引き出せるわけではありません。原則60歳からしか掛金と運用益を受け取れないため、投資額は慎重に決めましょう。
【まとめ】
いかがでしたでしょうか。
今後支給される年金が減っていくことを考えると、早急に老後資金を貯めていく必要があります。
持ち家がある場合は早めにローン返済を行い、そのまま老後も持ち家で暮らすのか、手放して介護施設やバリアフリーのマンションなどに引っ越しするのかを考えておきましょう。
持ち家は売却だけではなく、賃貸経営やリースバックなどの方法でまとまったお金を手に入れることも可能です。