マンション売却時には税金や手数料など様々な費用がかかります。
思った以上に出費がかさんで困ってしまった…という人も多いのではないのでしょうか。
今回の記事ではマンション売却時の諸費用について紹介していきます。
マンション売却にかかる手数料・費用
マンション売却にかかる費用は、目安として3.5%〜5%と言われています。
具体的にどのような手数料や費用が発生するのでしょうか。
仲介手数料
マンションを売却する場合、一般的には不動産会社に依頼します。
取引が成立した後に生じるのが、不動産会社への報酬である仲介手数料です。
支払いは、売買契約時と、引き渡し時の2回に分けて行います。
不動産売却にはさまざまな費用や税金がかかりますが、なかでも仲介手数料は高額になりがちです。
仲介手数料の上限額は法律で定められており、
- 売買価格200万円以下の部分…売買価格の5%+消費税
- 売買価格200万円超400万円以下の部分…売買価格の4%+消費税
- 売買価格400万円超の部分…売買価格の3%+消費税
となっています。
売買価格が400万円を超えたマンションを売却する場合は計算式が複雑になり、
「売買価格の内200万円以下の部分の5%+消費税」+「売買価格の内200万円超え400万円以下の部分の4%+消費税」+「売買価格の内400万円超えの部分の3%+消費税」
が上限額となります。
物件売却価格が3000万円のケースでシミュレーションしてみましょう。
「200万円×5%+消費税」+「200万円×4%+消費税」+「2600万円×3%+消費税」
(消費税は税率10%で計算)
=105.6万円
となります。
この計算式は複雑なため、実際には以下の速算式と呼ばれるものが使われています。
売買価格税込が200万円以下の場合 | 売買価格×5% + 消費税 |
売買価格税込が200万円超え400万円以下の場合 | 売買価格×4%+2万円 + 消費税 |
売買価格税込が400万円超えの場合 | 売買価格×3%+6万円 + 消費税 |
もちろん、速算式を利用しても上記の式を用いても、結果は変わりありません、
3000万円の売却価格の場合の仲介手数料を速算式で求めると
(3000万円 × 3% + 6万円 )+ 消費税10%=105.6万円となり、上記と同じ値が算出されました。
仲介手数料は費用の中でも高額になりやすいものの一つであるため、事前に計算して予算に入れておきましょう。
登記手続きの費用
売却するマンションに住宅ローンが残っている場合、必要になるのが抵当権抹消登記です。
抵当権は、住宅ローンの支払いが完了しても勝手に抹消されないため注意しましょう。
登記の変更手続きには登録免許税と司法書士への依頼費用がかかります。
自身で登記を行うとこの依頼費用が無料になるというメリットがありますが、専門知識がいること、売却の手続きなどで慌ただしいことを考えると司法書士への依頼を選択するほうがおすすめです。
依頼料は、通常1万〜3万円程度が相場とされています。
証明書類発行費用
マンションを売却する際には、以下の様な証明書類が必要になります。
印鑑証明書300円~450円程度
住民票300円程度
固定資産税証明書300円~400円程度
登記事項証明書発行費用300~600円程度
ローン返済の手数料
売却予定のマンションに住宅ローンが残っている場合、ローンの残高を一括で精算する必要があります。
この際に、繰り上げ返済手数料がかかる場合があります。
繰り上げ手数料は、2200円〜55000円と銀行によって大きく違います。
注意点としては、この手数料はインターネットバンキングを利用すると安くなったり無料になったりするケースが多いことです。
一度、借入先の金融機関のサイトで確認しましょう。
その他の費用
上記以外にかかる費用として、住み替えの際の引っ越し費用やクリーニング費用、修繕費用などがあります。
マンション売却にかかる税金
マンションを買う時だけではなく、売る時にもいくつか税金がかかります。
どのような税金がかかるのでしょうか。
印紙税
マンション売買契約書は課税文書に該当します。
課税文書には税額分の収入印紙を貼り、消印をして納税する必要があります。
印紙税は売買契約書に記載されているマンションの契約金額により、以下の一覧のように異なります。
契約金額 | 本則税率 | 軽減税率 |
10万円~50万円以下 | 400円 | 200円 |
50万円~100万円以下 | 1千円 | 500円 |
100万円~500万円以下 | 2千円 | 1千円 |
500万円~1千万円以下 | 1万円 | 5千円 |
1千万円~5千万円以下 | 2万円 | 1万円 |
5千万円~1億円以下 | 6万円 | 3万円 |
1億円~5億円以下 | 10万円 | 6万円 |
5億円~10億円以下 | 20万円 | 16万円 |
10億~50億円以下 | 40万円 | 32万円 |
50億円を超える場合 | 60万円 | 48万円 |
参考:
不動産売買契約書の印紙税の軽減措置(国税庁) https://www.nta.go.jp/law/shitsugi/inshi/08/10.htm
注意点としては、2024年3月31日までに作成された不動産売買契約書に関しては軽減税額が適用になることです。
譲渡所得税
マンションを売却して利益(譲渡所得)が出た場合、譲渡所得税が課されます。
譲渡所得は以下のように計算します。
譲渡所得 = マンション売却額-マンション購入費から減価償却費を控除した額 ― 譲渡費用(仲介手数料や印紙税などの売却にかかった費用)
この譲渡所得に税率をかけて求めたものが譲渡所得税です。
譲渡所得の税率は下記の様に所有期間によって異なります。
所得の種類 | 所得税率 | 住民税率 | 復興特別所得税 |
短期譲渡所得(所有期間が5年以下) | 30% | 9% | 所得税額の2.1% |
長期譲渡(所得所有期間が5年を超える) | 15% | 5% | 所得税額の2.1% |
登録免許税
前述の通り、抵当権抹消登記を行う際登録免許税が発生します。
抵当権抹消の際の登録免許税は不動産1戸につき1,000円となります。
マンションは土地と建物それぞれに抵当権が設定されており、登録免許税は2,000円となります。
マンション売却の費用を抑える方法
ここからはマンション売却にかかる費用をできるだけ抑えるコツを紹介します。。
売却時にかかる税金を減らす
譲渡所得税の負担を軽減するために、節税特例を活用する方法があります。
使用できる代表的な特例を以下に挙げます。
- 3000万円の特別控除
- 所有期間10年超の居住用財産を譲渡した場合の軽減税率の特例
- 特定の居住用財産の買換え特例(令和5年12月31日まで)
特例を利用するには、いくつかの条件を満たす必要があるため注意しましょう。
仲介手数料が安い不動産会社を選ぶ
不動産会社の仲介手数料の上限は決まっていますが、下限は決まっておらず不動産会社によって異なります。
また、不動産会社によっては無料でクリーニングや修繕を行うなど様々なサービスを行っているところがあり、ハウスクリーニングの費用が抑えられます。
そのため、異なる複数の不動産会社を比較検討してみるのもいいでしょう。
売却時に返金されるお金を把握する
マンションを売却すると、それに伴い契約していたサービス分の返金が行われることがあります。
例えば、
- 固定資産税・都市計画税の清算金(固定資産税は毎年一月一日時点の物件所有者に発生する。年度途中で引き渡す場合、引き渡しの月から12月31日までの固定資産税を買主が売主に清算する)
- 火災保険料
- 住宅ローン保証料
- 管理・修繕費
- 駐輪・駐車場等
もちろん、マンションやサービスの種類、タイミングによっては返金は行われないことがあるのできちんと確認しましょう。
マンションを高く売るポイント
信頼できる不動産会社を選ぶ
マンションを高く売るには信頼できる不動産会社を選ぶことが大切です。
実績のある不動産会社は広いネットワークと情報を持っているため、短期間で高値での売却が期待できます。
査定価格だけではなく、営業担当との相性を確認することも大事です。
複数の不動産会社に話を聞き、自分に合った不動産会社を見つけましょう。
また、専属専任媒介契約や専任媒介契約を結ぶことも重要です。
不動産会社一社としか契約を結べませんが、多くの人に物件を知ってもらえるよう広告費用をかけるなど、積極的に売却活動を行ってくれるというメリットがあります。
仲介手数料の値引き交渉を強引に行うと、売却活動に影響を及ぼしたり、ホームクリーニングなどのサービスが受けられない可能性もあるため、控えましょう。
内覧でアピールする
家を売りに出した際には、内覧希望者に応じることもあると思います。
その際はしっかり掃除・整理整頓を行い、いい印象を与えるようにしましょう。
特に水回りの掃除や、換気は忘れずに。
場合によっては不動産会社に相談してリフォームを行うのもいいでしょう。
【まとめ】
いかがだったでしょうか。
今回の内容はマンションを売った際にかかる手数料や税金についてでした。
引越し代なども合計すると、マンション販売時の手数料や税金は案外馬鹿になりません。
特に仲介手数料は高くなりやすく、出費がかさむ原因です。
不動産会社を選ぶ際から確認して予算にいれておきましょう。