不動産投資と言えば、マンション投資などの「賃貸経営を行い家賃で不動産所得を得る」というケースを思い浮かべる方が多いと思います。
しかし、不動産投資には給与で発生する税金を抑えるというよい面もあるのはご存知でしょうか。
特に年収が高額である場合、節税対策として不動産投資を始めるのはおすすめです。
今回の記事では、不動産投資を活用することでどのような税金が節税できるのか、節税できる理由などの情報について解説していきます。
ぜひ検討してみてください。
不動産投資で節税できる税金の種類
不動産投資を行うことで節税が可能なものは5つあります。
以下で詳しく説明していきます。
所得税
年間の所得金額(年間の収入金額から、経費や所得控除額を差し引いた額)に対してかかる税金のことをいいます。
住民税
住民税には、道府県民税と市町村民税があります。(東京都では都民税が道府県民税にあたる)
納税する際には、この二つを一括して各市町村に納めます。
こちらも所得に応じた税額となり、公共施設の設備費や、ごみ処理などの行政サービスに充てられます。
贈与税
贈与とは、無償で不動産や不動産の購入資金・貴金属などを渡すことを言います。
110万円を超えると贈与税が発生し、もらった側が支払います。
相続税
亡くなった人から財産を相続したときに発生する税金です。
亡くなった際に残っていた財産を相続した場合だけではなく、亡くなる3年以内に贈与されたものについても、同様に相続税がかかります。
法人税
法人税とは法人の企業活動によって得られる所得に課される税金です。
個人ではなく法人として不動産投資を行った場合は、所得税とは異なり法人税が課税されます。
不動産投資で節税できる仕組み
それでは不動産投資でなぜ節税が可能なのか解説していきます。
所得税や住民税の節税
所得税や住民税は、所得に応じた額を納税します。
不動産投資を利用する場合、見かけ上の所得を減らして税額を抑えるという方法で節税を行うことができます。
減価償却
所得税や住民税の節税には、減価償却して経費に計上するという方法があります。
所得税や住民税の納税額は、収入金額から経費の額を差し引いた所得金額をもとに計算が行われます。
この経費には投資用の不動産購入費も含まれます。
不動産の中で、経年劣化に伴い価値が減る建物や設備などは、耐用年数に分けて毎年経費に算入を行うというやり方で処理します。
この仕組みを減価償却というのです。
この仕組みで、大きな金額である不動産購入費用を少しずつ減価償却費として経費に計上していくことができます。
これにより耐用年数が経過するまで所得を減らして申告できるため、所得が反映される所得税と住民税を数年間軽減できます。
経費
不動産投資を行う際、必要経費に含まれるものは多くあります。
以下に例を挙げます。
- 固定資産税・都市計画税などの税金
- 火災保険・地震保険などの損害保険料
- 設備の修理や壁や床の塗り替えなどの修繕費
- 不動産取得時に組んだローンの利息
- 管理会社へ支払う管理費用
これらを経費として扱う事で、所得が減り所得税と住民税の節税となります。
損益通算
不動産投資で赤字がある際、給与所得などの収入から損失分を差し引くことが可能です。
これを損益通算といいます。
差し引いた残りを元に所得税や住民税の額が算出されるため、税額を抑えることができます。
贈与税や相続税の節税
贈与や相続を行う際、財産を現金より不動産の形で引き渡す方が贈与税や相続税の額を抑えられます。
これは贈与税額や相続税額を算出する際、使用される不動産の評価額は相続税評価額と言われるもので、実際に売却される価格の8割程度になるからです。
そのため、不動産が売却される価格と同じ現金を贈与・相続するより、不動産そのものを贈与・相続した方が一般的には節税になります。
さらに借地や借家を相続や贈与する場合、土地と建物の評価額が軽減される可能性があります。
法人税の節税
所得税は累進課税制であり、所得が増えると納める税額も大きくなります。
しかし法人税は上限が23.2%と設定されているため、合計した課税所得が多い人は所得税ではなく法人税として払った方が節税となります。
ただし、法人化すると以下の様なデメリットも存在するため必ず確認しておきましょう。
- 法人を設立する際、さまざまな税金や費用が発生する
- 国民年金や国民健康保険より負担料の大きい社会保険への強制加入
- 住民税より高い法人住民税がかかる
節税効果が高いのは中古物件?
不動産投資を行う際、節税という観点から考えると中古物件が最適と言われています。
それは上記でも紹介した減価償却による節税効果を考慮しているためです。
減価償却額は、物件の購入価格を法律で決められた耐用年数で割ることで算出されます。
新築物件と比べると中古物件の方が、購入時からの耐用年数が短くなり1年ごとの減価償却額が高くなるため、節税効果が期待できます。
そのため新築物件よりも中古物件のほうが、減価償却による節税効果は高い傾向にあります。
逆に新築区分マンションは耐用年数が長く、その分年間の減価償却費が少額になるため、節税効果は低いです。
ただ購入後数年の節税効果は高いものの、減価償却期間が終わったあとは節税効果も薄くなるため注意が必要です。
特に中古物件は新築物件と比べて部屋が埋まりにくく、リフォームや修繕などの期間が新築物件と比べて短めです。
節税だけではなく、長期的なスパンで損にならないように物件を選びましょう。
不動産投資で節税すべき人とすべきでない人
不動産投資での節税は誰でも可能という訳ではありません。
不動産投資で節税すべき人とそうでない人にはどのような違いがあるのでしょうか。
不動産投資で節税すべき人
不動産投資で節税すべき人は課税所得が900万を超える人です。
これは所得税・住民税と譲渡所得税の差がポイントになっています。
課税所得が900万円以下の場合、減価償却期間に税金を節税したとしても、物件を売却する時に節税分と大体似たような額の譲渡所得税を支払う可能性が高くなり、結果節税の意味がなくなるケースがあります。
しかし、課税所得が900万円を超えてくると所得税・住民税が譲渡所得税よりも高くなり、不動産投資での節税効果が期待できます。
不動産投資で節税すべきではない人
逆に年間の課税所得が900万円以下の場合、不動産投資での節税効果は低いでしょう。
前述したように、所得税・住民税と譲渡所得税の差額が大きくないにも関わらず不動産投資のリスクのみ発生する状況だからです。
そのため、所得が900万円以下の人は節税目的ではなく物件の収益目的で不動産投資を行いましょう。
節税目的の不動産投資の注意点
節税にこだわりすぎない
不動産投資による節税で注意しないといけないのは、「減価償却や損益通算という赤字分や支出分というマイナス面があることにより節税が成り立っているということ」です。
長期間住宅を保有していると、いずれは耐用年数を過ぎ減価償却費を差し引けなくなります。
耐用年数を過ぎた物件は需要が低く、売却額も安くなる可能性が高くあり、最終的には損になる可能性もあります。
そのため、節税以外の長期的な視点からの収益性も考慮しましょう。
不動産から得る利益や売却金額・時期も考えることが必要です。
売却を急ぎ過ぎない
とは言え、投資用物件を早い内に売却するのにも注意が必要です。
不動産を売却する際には譲渡所得税がかかります。
譲渡所得税の税率は以下の様に物件の所有期間によって異なります。
短期譲渡所得…取得から6年以内に売却。税率は39%
長期譲渡所得…取得から6年を超えてから売却。税率は20%
短期譲渡所得の税率は、長期譲渡所得に比べて倍近く高いため、あまり売却が早いと譲渡所得税が高くなり、損をする可能性があります。
不動産経営のリスクを把握する
不動産経営は大きな利益が得られる可能性がある反面、高いリスクが付き物です。
入居者が見つからなかったり、修繕費がかさんだり、ローンの金利が変動するなどのリスクがあるため、長期間収益が赤字になり損をする可能性もあります。
不動産投資を行う際は、余裕を持った計画を立てましょう。
【まとめ】
いかがでしたでしょうか。
課税所得が900万円を超えると、不動産投資での節税効果が出てくる可能性が高くなります。
しかし節税に気を取られて家賃収入が低すぎたり売却時期を逃したりして、長期的な収益がマイナスになっては意味がありません。
不動産における税金について自分で学び理解して、長期的な計画を立てることが必要です。
また節税を行うには、正しく確定申告を行わなければいけません。
特に納税額が最大65万円控除される青色申告の場合、帳簿などの様々な書類が必要になります。
分からないことがあれば、税理士や税務署に相談してみましょう。