商品やサービスを提供している事業の場合は、キャッシュフローなどを考えることでしょう。資金計画をしっかり行わなくては、赤字になったり支払いが滞ったりして、経営が難しくなることもあるからです。
資金は、いろいろな方法で取引されていますが、その中で商業手形割引というものを利用することができます。ただ「商業手形割引とは何か?」「どのような特徴や注意点があるのか?」と疑問を感じることもあるでしょう。本記事から内容を紹介しましょう。
商業手形割引とは何?
商業手形割引が、どのようなものか知っておきたいでしょう。商業手形割引は売上代金決済方法として、企業が取得した受取手形を金融機関が期日前に買取って、その分を企業側が資金として受取る方法です。
そして、ただ、割引された手形は期日に支払う金融機関へ決済されて、回収されるという仕組みです。もう少し詳しく内容を解説すると、企業は商取引として、サービスを提供した後に請求書を提出するなら、取引先から約束手形を受取ります。
ただ、手形の入金日は締日から30〜60日後にならないと現金が入金されないため、企業側としては、その間資金が滞る可能性があるでしょう。しかし、商業手形割引を利用するなら、割引料を負担することで期日を待たずに現金化できるというわけです。入金の期日までに現金が欲しい企業なら、商業手形割引で早く資金化することを計画できます。
商業手形割引の計算方法とは?
商業手形割引は期日までに早く現金化できるため、その分手数料を支払わなくてはいけません。商業手形割引の計算は
・手形の額面×年利率(割引日数÷365日)
という方式です。
例えば、額面が100万円であり、決済期日が90日後の手形を3%の割引料負担で割引いてもらったなら、計算として100万×3%(90日÷365日)となり、7,397円になるでしょう。
また、別に手数料として手形取立手数料を支払う必要もありますが、こちらは700〜1,000円くらいの金額に収まるでしょう。このように、商業手形割引を利用する前に計算を行っておくなら、支払う手数料を理解しておくことができます。
商業手形割引を利用するメリットは何か?
企業側は資金を回収する方法として商業手形割引を利用することができますが、どのようなメリットやデメリットがあるのか知っておきたいでしょう。メリットを知っておくことで、前向きに利用を考えることができます。商業手形割引のメリットは以下のようになっています。
早期に資金を回収できる
商業手形割引は資金を期日よりも早く回収することが可能です。通常は手形割引は期日に請求した金額が入金されますが、上記でも紹介したように2ヶ月以上待たなくてはいけないこともあるため、そこまで待てない場合があるでしょう。商業手形割引を利用するなら、銀行や業種に持ち込むことで最短で即日で現金化することができるため、早くお金を得ることができます。
銀行から融資が受けられない場合でも審査が通りやすい
銀行や金融機関から融資を断られてしまった場合も、商業手形割引は利用可能です。専門業者に手形割引を現金化してもらう場合、審査が行われますが重視されるのは借入する企業ではなく、手形振出人の信用です。
つまり、現金化して欲しい企業の業績がイマイチでも、手形の取引先が信用できそうであれば、審査を通過して資金を入手しやすいです。取引先の業績が順調であることを調べて利用するなら、資金化できる期待度は高まるでしょう。
手続きは比較的シンプル
商業手形割引を利用するときは、面倒な手続きが必要ありません。通常、資金を得るためには資金繰り表などの提出が要求されることもありますが、商業手形割引の際はありません。提出する書類の数は少なく、シンプルなため直ぐに準備して審査をしてもらうことが可能です。そのため、他の回収方法よりも利用しやすいと言えるでしょう。
金利が安くなることも期待
商業手形割引を行うなら、金利を安くすることも可能です。ビジネスローンなどの場合は、金利が10〜15%程度になることもあり、支払い負担が大きくなることもあるでしょう。しかし、商業手形割引であれば、金融機関なら1%程度、業者でも数%から12%程度の低金利ともなるため、負担は軽減されます。
商業手形割引のデメリットには何があるのか?
商業手形割引を利用する際はデメリットもあります。しっかりデメリットを確認することで、商業手形割引を利用すべきなのか詳細に考えることができるでしょう。以下のデメリットをご覧ください。
割引料が発生する
商業手形割引を利用するときは手数料が発生します。計算方法は上記で紹介しましたが、決済期日よりも前に手形を換金するため、支払い期日までの利息分と割引料が差し引かれることになります。手数料が発生することで本来得られた金額よりも少なくなるため、収益に影響する可能性もあるでしょう。
不渡りが生じた際は借入人が弁解しなくてはならない
もし、利用した商業手形割引が不渡りになってしまった場合、借入人が手形を買い戻さなくてはいけません。手形の金額が高額であるなら不渡りとなった時点で既に支払うことが難しく、企業の資金も少ないようであれば、別の機関に借金をして支払わなくてはいけない可能性があります。取引先の信用が怪しい場合は借入人が不利な状況になることもあるため注意が必要でしょう。
全ての金額を現金化しなくてはいけない
商業手形割引を利用するときは額面の全てを現金化しなくてはいけません。利用する際の割引料コストを考えてみるなら、資金調達が必要な分だけで抑えておきたい場合もあるでしょう。しかし、商業手形割引は金額内で分割して利用することはできず、行うなら全ての金額になります。そのため、資金に余裕があるなら先延ばしにして大丈夫な場合もあるでしょう。
買い戻しを行うことはできない
商業手形割引を利用するなら、原則として買い戻し遠を行うことはできません。資金調達の必要性から手形割引を行った後、別の何かが理由で現金に余裕ができることもあるでしょう。その際は商業手形割引を買い戻したい気持ちになるかもしれませんが、それは通常行えないので利用する前に考えておくことが大事です。
利用する際の必要書類とは?
商業手形割引を利用する際は以下のような書類を準備する必要があります。
・割引する予定の手形
・預金口座が確認できるもの
・依頼人の本人確認書(免許証、パスポートなど)
・会社に関する書類(不動産登記簿、謄本など)
・印鑑証明書
・会社の決算書、納税証明申告書、源泉徴収書
専門業者の場合は決算書などの書類提出を求められないこともあり、スピーディーな取引を行うことも可能です。
【まとめ】メリット・デメリットを踏まえて審査に申請してみよう!
商業手形割引を利用する際は、メリットやデメリットについても確認しておくことが大事です。利用によって企業のキャッシュ・フローは良くなる可能性もありますが、後々リスクを背負う可能性もあります。ぜひ、メリットが大きいように感じるなら審査を申請してみましょう。